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2019 年度 実績報告書

メカノバイオロジー破綻による新規歯周組織破壊機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H02975
研究機関東北大学

研究代表者

齋藤 正寛  東北大学, 歯学研究科, 教授 (40215562)

研究分担者 吉田 恭子 (今中恭子)  三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00242967)
山田 聡  東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
半田 慶介  東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40433429)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード細胞害マトリックス / メカノバイオロジー / 免疫機構 / 組織破壊 / 抗炎症療法
研究実績の概要

本年度はADAMTSL6alphaとbetaのノックアウトマウスの解析を行った。ADAMTSL6alpha-/-マウスは胎生致死、ADAMTSL6beta-/-は生まれることがわかった。そのためADAMTSL6alpha+/-およびbeta+/-を用いて、結合組織疾患に及ぼす影響を解析した。この目的にマウス根尖性歯周炎モデルを用いた。このモデルを用いて、根尖性歯周炎を発症させるとケモカインであるCXCL9の発現が上昇し、それに伴いマクロファージの浸潤と破骨細胞の活性化を引き起こしていることを事前に確認した。このモデルを用いてADAMTSL6alpha+/-およびbeta+/-における根尖部における骨破状況を解析した。その結果ADAMTSL6beta+/-において野生型マウスおよびADAMTSL6alpha+/-と比較して、有意に骨欠損を伴う病変が増大する事がわかった。マイクロCTによる画像解析により病変において骨吸収が促進していることを見出した。次に病変を取り出し、炎症性サイトカイン産生に及ぼす影響をPCR arrayで解析を行った。細菌感染により自然免疫で上昇するIL-1beta、またマクロファージの遊走および分化に関わるケモカインの発現に関しては発現量の変化は見られなかった。破骨細胞の形成に関わる炎症性サイトカインであるTNF-alphaに関しては有意に上昇することがわかった。また他の炎症性サイトカインもいくつか上昇することがわかり、ADAMTSL6betaによる機械的外力の強化は抗炎症作用を有していることがわかった。次年度は機械的外力がどのように炎症反応および破骨細胞の機能に関わるのかを解析することを予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ADAMTSL6alphaおよびbetaのノックアウトマウスの解析を進め、炎症反応の解析を解析始められているからである。機械的外力に関する研究はin vitroの研究が殆どであるが、生体内で解析されている実験は少ないのが現状である。当該研究で機械的外力と炎症の関連性について開始後2年目で見られているため、概ね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究でADAMTSL6betaをノックアウト(KO)することで組織破壊が誘導したので、メカノバイオロジー破綻で活性化される破壊シグナル(アクチンーYAP/TAZ経路)との関連性解析する。今後はADAMTSL6betaノックアウトマウスにおいて、根尖性歯周炎モデルを施し、病変内で変動している炎症関連遺伝子を網羅的に解析することを予定している。そのため病変をとりだしマイクロアレイ解析を行う標的遺伝子を同定し、同分子を阻害することで病変が改善できるかを解析する。これまで根尖性歯周炎モデルに阻害薬をとうよする実験系は確立しているので、同じモデル研究を用いて実施することを予定している、
上記の研究内容で成果を得られない場合は、ADAMTSL6betaノックアウトマウスを用いて歯根膜細胞とコラーゲン線維、弾性線維と接着を経時的に解析し、崩壊の開始する時期を特定し、この過程で活性化する組織破壊シグナルの候補分子に関して、シングルセル法を用いた次世代シークエンス技術で特定する。これらの研究を介して期間内にメカノセンシングの破綻により活性化される組織破壊機構の解明を目標としている。このような試みは、これまで未解明の点が多い口腔と全身でクロストークする疾患発症機構の本態を分子レベルで明らかにすることが期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Comparison of the vertical bone defect healing abilities of carbonate apatite, β-tricalcium phosphate, hydroxyapatite and bovine-derived heterogeneous bone2020

    • 著者名/発表者名
      SATO Nobuya、HANDA Keisuke、VENKATAIAH Venkata Suresh、HASEGAWA Tatsuya、NJUGUNA Mary M.、YAHATA Yoshio、SAITO Masahiro
    • 雑誌名

      Dental Materials Journal

      巻: 39 ページ: 309~318

    • DOI

      https://doi.org/10.4012/dmj.2019-084

    • 査読あり
  • [学会発表] 臨床応用を目指した歯槽骨由来未分化骨芽細胞の分離培養システム構築2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木重人、Mary M Njuguna, Suresh V Vencata,中野将人、八幡祥生、半田慶介、齋藤正寛
    • 学会等名
      第151回日本歯科保存学会秋季学術大会
  • [学会発表] 未分化骨芽細胞と3次元ポリ乳酸複合体を用いた歯槽骨再生医療の開発2019

    • 著者名/発表者名
      八幡祥生、鈴木重人、Mary M Njuguna, Suresh V Vencata、半田慶介、齋藤正寛
    • 学会等名
      第151回日本歯科保存学会秋季学術大会
  • [学会発表] Establishment of experimental intraradicular biofilm model for irrigation techniques evaluation in pigs.2019

    • 著者名/発表者名
      Yahata Y, Tanaka T, Handa K, V. Venkataiah S, Kanehira M, Hasegawa T, Noiri Y, Saito M
    • 学会等名
      European Society of Endodontology
    • 国際学会
  • [学会発表] Global gene expression analysis of immunological responses during the development of apical periodontitis model in mice.2019

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa T, Handa K, Yahata Y, Tanaka T, V.Venkataiah S, Njuguna M, Noiri Y, Saito M
    • 学会等名
      European Society of Endodontology
    • 国際学会
  • [図書] 歯科再生医学2019

    • 著者名/発表者名
      村上伸也・網塚憲生・齋藤正寛・松本卓也
    • 総ページ数
      334
    • 出版者
      医歯薬出版
    • ISBN
      SBN978-4-263-45838-9

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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