研究課題/領域番号 |
18H02979
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
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研究分担者 |
松田 康裕 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50431317)
伊藤 修一 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50382495)
別所 和久 京都大学, 医学研究科, 教授 (90229138)
村田 勝 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (00260662)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 象牙質再石灰化 / 接着性モノマー |
研究実績の概要 |
本研究課題は、脱灰象牙質再石灰化誘導と修復象牙質形成誘導の二方向から自己修復型齲蝕予防・治療材料および方法を開発しようとする展開研究で、象牙質再石灰化に関しては、強力な石灰化誘導性モノマーの開発、修復象牙質形成誘導に関しては、モノマーに加え、Dentin phosphoproteinを中心とした細胞外マトリックス(合成ペプチド)を利用した象牙質再生材料の開発などにより、象牙質再石灰化・象牙質再生技術を利用して、革新性を有した次世代齲蝕予防・治療法を確立することを目的としている。 2020年度は、我々が開発した石灰化誘導性モノマーCMET(接着性モノマー4METのカルシウム塩)の歯髄間葉系幹細胞(hDPSCs)の細胞増殖、分化、石灰化誘導活性について検討した。その結果、幹細胞の増殖およびALPase活性を促進し、さらにreal time-PCR 法により象牙芽細胞分化マーカーであるDSPP,DMP-1およびOCN,OPN, BSP の遺伝子発現を増強させ、強力な石灰化誘導活性が認められた。このことからCMETの強力な象牙芽細胞分化誘導活性が認められたことから、ラットを用いた直接覆髄実験で象牙質誘導活性について検討した。その結果、従来から直接覆髄材として用いられている水酸化カルシウム製剤と比較して早期に多量の修復象牙質形成を誘導することが明らかになり、歯髄組織への為害作用もなかった。 さらに、in vitroバイオフィルム形成抑制実験を行い、CMETがS.mutansによるバイオフィルム形成を約65%抑制することが明らかになり、CMETは石灰化誘導活性、象牙質誘導活性に加え、バイオフィルム形成抑制活性を有する多機能性モノマーである可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Covid-19感染症拡大による影響で、完全に予定通りの研究を遂行しているとは言えないが、CMETの石灰化誘導活性、象牙質誘導活性に加え、バイオフィルム形成抑制活性を示唆する非常に貴重なデータが得られたことから、本研究が概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
Covid-19感染症拡大の影響がいつまで継続するのか不透明であるが、収束後は可及的速やかに研究を推進する。具体的には、今後さらに、石灰化誘導性接着性モノマーCMETの生物学的作用の詳細およびそのメカニズムを明らかにするとともに、CMETおよび石灰化誘導性タンパク質と協働作用を発揮するco-factorの開発を引き続き行い、強力な象牙質再石灰化・象牙質再生誘導活性を示す機能性修復材料の開発を行う。さらに材料の規格化を行い、それぞれの実験で得られた結果を総合して生体活性型齲蝕予防・治療材料開発の一助とする。
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