研究課題/領域番号 |
18H02980
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
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研究分担者 |
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
石原 裕一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50261011)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70322170)
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90434480)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / スクレロスチン / 骨代謝 / 歯周治療 |
研究実績の概要 |
骨吸収と骨形成は厳密に共役するが、共役メカニズムは不明である。我々は、①破骨細胞が分泌するLIF (leukemia inhibitory factor) は、骨細胞のスクレロスチン(骨細胞が産生するWnt抑制因子)の発現を抑制し、間接的に骨芽細胞の分化を促進すること、②破骨細胞が分泌するWnt5aは、自らの骨吸収活性を促進する一方、骨芽細胞の分化を促進すること、を明らかにした。以上の知見は、破骨細胞が分泌する因子は、Wntシグナル調節系を介して骨代謝共役を担うことを示す。本研究は、骨代謝共役を担う破骨細胞分泌因子 (LIF) およびスクレロスチンの発現制御機構とその作用機構を解明する。さらに、LIF-Wntシグナルを標的とした歯周疾患を含む代謝性骨疾患の治療薬の開発と治療指針の確立を目指す。平成30年度は[1] スクレロスチンの発現調節の生理的意義の解明を目指して研究を実施した。 [1] 骨代謝共役におけるスクレロスチンの発現調節の生理的意義の解明 我々は骨吸収亢進がスクレロスチン発現を抑制することを明らかにした。通常、海綿骨においてスクレロスチンの発現は低い。抗RANKL中和抗体投与により骨吸収を抑制した場合、海綿骨のスクレロスチン発現が増加し、破骨細胞のLIF発現が低下するかを検討した。抗RANKL中和抗体投与は、骨吸収を強力に抑制した。破骨細胞の消失により、LIF発現細胞も減少した。同時に、海綿骨のスクレロスチン発現の増加が観察された。海綿骨の骨形成の低下が観察された。破骨細胞由来のLIFが海綿骨の骨形成抑の促進に必要であることを証明した。今後の研究の進展に重要な結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に目標とした、スクレロスチンの発現調節の生理的意義の解明が達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
我々は骨吸収亢進がスクレロスチン発現を抑制することを明らかにした。海綿骨においてスクレロスチンの発現が低いことを観察結果として見出した。更に、骨吸収を抑制した場合、海綿骨のスクレロスチン発現が増加して、破骨細胞のLIF発現が低下する結果を得た。平成31年度は、①スクレロスチンの発現誘導機構を解析する。② LIFによるOPG分泌調節機構を解析する予定である。 更に、破骨細胞分泌因子であるLIFによる骨代謝の共役機構の解明を目的として、以下の課題を行う予定である。骨芽細胞特異的LIFR欠損マウス(Ob-LIFR-cKOマウス)を作製し、骨組織を解析する。Ob-LIFR-cKO マウス由来の骨細胞のスクレロスチン発現抑制作用を解析する。マイクロCT (Computed tomography) 解析と骨形態計測を行い、Ob-LIFR-cKOマウスの骨代謝回転を明らかにしていく予定である。
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