研究課題
本年度は、歯根膜幹細胞のステムセルエイジングに関与することを昨年度明らかにしたmiRNA-137とmiRNA181aのRNA配列と相同配列を有する人工microRNA模倣鎖を合成しマウス歯根膜幹細胞に導入して、miRNAsを標的とした核酸治療薬によるステムセルエイジング制御の可能性を検討した。その結果、各miRNAと相同配列を有する人工microRNA模倣鎖を導入した歯根膜幹細胞内の活性酸素種(ROS)が増大していることが、CellRox Green染色により観察された。また、この人工microRNA模倣鎖を導入した歯根膜幹細胞において、損傷ミトコンドリアの標識と隔離膜への囲い込みに関与する遺伝子であるFUNDC1およびPARK2(Parkin)の発現をリアルタイムPCR法にて検討した結果、これらの遺伝子の有意な発現減少が認められた。これらの結果から、miRNA-137やmiRNA181aが歯根膜幹細胞の酸化ストレスに関与し、miRNA-137およびmiRNA181aを標的とするマイトファジー制御を基盤とする核酸治療薬がステムセルエイジング制御に有用である可能性が示唆された。さらに、上記で明らかとなったmicroRNAs-mRNA-ミトコンドリア機能制御タンパク経路を標的としたステムセルエイジング制御による歯周組織再生効果増強を検証するため、ミトコンドリア代謝とアポトーシスに関連するサイトカインX処理によりステムセルエイジングを制御した脂肪組織由来幹細胞(ADSC)と通常のADSCをビーグル犬歯周組織欠損モデルに移植し、臨床的および組織学的に歯周組織再生効果を比較、検討した。その結果、サイトカインX処理により幹細胞性を増強したADSCによる歯周組織再生効果の増強を示唆する大変興味深い結果が得られた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Odontology
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