研究課題
口腔扁平上皮癌(OSCC)の治療において、放射線耐性の克服は重要な課題である。放射線耐性細胞は幹細胞の性質を持っていることを明らかにした。無血清培養系でSCCおよびOSCC細胞株から低線量率放射線(LDR)および高線量率放射線(HDR)を用いてradiation resistant (RR)-SCC株を単離し放射線耐性に関与する分子群を明らかにすることで、その耐性機構および克服を目指した。LDR、HDRシステムで無血清培養系を用いて A431-WTおよびNA-WT細胞からA431-LDR、A431-HDR, NA-LDRおよびNA-HDRを樹立した。これら細胞のD37値はそれぞれ2.3Gy、5Gy、3.7Gy、4.6Gy、7.5Gyおよび5.5Gyで、放射線耐性であった。RR細胞はWT細胞と比較してCD133癌幹細胞マーカーを高発現しさらに高いsphere形成能、細胞運動能、ヌードマウスでの造腫瘍性を示した。DNAマイクロアレイ、RT-qPCR解析の結果、RR細胞ではIGF2およびkrt13が高発現していた。IGF2発現抑制によりA431-およびNA-RR細胞は放射線感受性となった。また、krt13発現抑制によりA431-RR細胞は高い放射線感受性を示した。 A431-LDRにおけるIGF2の発現抑制はkrt13、Nanog、Oct4の発現を低下させた。 Krt13過剰発現WT-A431細胞の増殖能、sphere形成能、細胞運動能は亢進し、IGF2、Nanog、Oct4の発現上昇を示した。以上、放射線耐性SCC細胞はIGF2やkrt13遺伝子の過剰発現でその幹細胞の形質および耐性形質を発現・維持し、癌幹細胞集団比率の上昇、運動能や造腫瘍性の亢進を示していることが明らかとなり、krt13やIGF2を制御をすることで癌幹細胞の誘導の制御が可能となることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
口腔扁平上皮癌の放射線治療の耐性機構や治療後の再発にはガン幹細胞の誘導が強く関与していることが明らかとなった。また、その耐性機構にkeratin13遺伝子およびIGF2遺伝子が関与していることが明らかとなった。
口腔扁平上皮癌の放射線治療の耐性機構や治療後の再発にはガン幹細胞の誘導が強く関与していることが明らかとなった。また、その耐性機構にkeratin13遺伝子およびIGF2遺伝子が関与していることが明らかとなった。今後は口腔扁平上皮癌細胞にゲノム編集法を用いてkrt13およびIGF2遺伝子発現をノックアウトすることで治療への応用が考えられる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 図書 (3件)
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