研究課題/領域番号 |
18H03002
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宮本 洋二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (20200214)
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研究分担者 |
真野 隆充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (80325125)
玉谷 哲也 徳島大学, 病院, 講師 (30274236)
大江 剛 徳島大学, 病院, 講師 (60432762)
中川 貴之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (30456230)
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
工藤 隆治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10263865)
栗尾 奈愛 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (80622141)
工藤 景子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (70380029)
石川 邦夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (90202952)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 炭酸アパタイト / 多孔体 / 溶解析出反応 / 骨再生 |
研究実績の概要 |
本研究は、生体内吸収性および骨置換性を有する炭酸アパタイト(CAp)多孔体を作製し、骨・皮膚再生用のスキャフォールドとしての有用性を検証することで、新たな再生医療用材料の開発を行うことに焦点を置いている。これまで試験的にCAp多孔体の試作を行なってきたが、本年度はその気孔径の制御を行なうために、出発物質であるCaSO4(石膏)にナイロンファイバーを混和し、ファイバー焼却後にCApに組成変換した。当初は、多孔体ブロックでの検討を予定していたが、内部まで完全に組成変換するまで時間を要することを考慮し、まずはブロックより容易に変換を見込める多孔体顆粒の作製を行なうこととした。実際には、直径30μm、50μm、120μm、205μmのファイバーを石膏へ混合・硬化させた後、ファイバーの焼却を行ない、これを1.0mm~1.4mmの顆粒状に粉砕・分級し、溶解析出反応で形態を保ったままCApに組成変換した。石膏からCApへの変換は粉末X線回折およびフーリエ変換赤外分光光度計を用いて追跡を行なったが、気孔径の違いによる変換速度に差は認めなかった。作製したCAp多孔体顆粒の気孔径はファイバーの実測径と比較して、8.2~18.7% 縮小していたが、前駆体で形成した気孔径は閉塞せず維持されていた。以上より、種々の気孔径を有するCAp多孔体顆粒の作製手法を確立した。 また、押出成形機による連通気孔を有するCApの作製にも着手しており、気孔径100μm、150μmの2種類のCApブロックの作製に成功している。しかしながら、これはブロックの形態であり、顆粒と異なりCApへの変換に時間を要するため、詳細な物性や変換速度に関しての検討が今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はCAp多孔体の作製方法の確立に重点を置き、検討を行なった。前駆体に径の異なるファイバーを混和させるという手法を採用し、気孔径を制御することに成功している。本結果をもとに細胞実験や動物実験といった各種検討を進める予定にしているが、現在試験的に動物実験を行なっている。実際には、作製したCAp多孔体顆粒をウサギ頭蓋骨欠損へ埋植した際も炎症反応を起こすことなく機能し、顆粒周囲や気孔内部への骨新生を認めている。このことから、本材料は優れた生体親和性や骨伝導性を示すことが示唆されている。以上より、本研究課題の進捗状況は申請時の実験計画と同程度と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度の結果をもとに、現在進行している動物実験を継続する。現在、4種類の気孔径をもつCAp多孔体顆粒をウサギ頭蓋骨欠損へ埋植しているが、本材料の初期~中期における経時的な病理組織学的検索を行ない、骨伝導性や骨置換性について評価することで、骨形成に最適な気孔径を選定する。さらには、本材料と骨髄細胞を用いた異所性骨再生実験にも着手し、本材料が骨再生の足場としても機能することを確認する。 なお、押出成形機を用いて作製したCAp多孔体についても同様の実験を行なっていき、その有用性を検討する。
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