研究課題/領域番号 |
18H03007
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
東 俊文 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00222612)
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研究分担者 |
柴原 孝彦 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50178919)
齋藤 淳 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (60266559)
中村 貴 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80431948)
小野寺 晶子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90637662)
齋藤 暁子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90722835)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | McCuneAlbright症候群 / Gorlin症候群 / cAMP / GNAS / Hedgehog / iPS / 骨芽細胞 / 石灰化 |
研究実績の概要 |
正常iPS細胞に PTHを投与しGタンパク質共役受容体を介してGNASを活性化しcAMP産生を促進する現象を確認した。さらにGNAS恒常活性iPSをG201H変異を遺伝子編集技術を用いて作製し その未分化性、多能性を確認した。本iPSはGNASG201H変異遺伝性疾患McCuneAlbright症候群に認められる点変異をもち、さらには膵臓、胃、大腸をはじめとする消化管腫瘍の原因遺伝子としても注目されている。本iPS細胞を免疫不全マウスに移植し奇形腫を作成したところ消化管様あるいは膵管様構造がみられそれぞれに 上皮特異的マーカー陽性を認めたが、CK18はGNAS変異iPS細胞由来消化管様管腔構造において陰性となり、本iPS細胞から消化管への分化誘導が異常になっていることが示唆された。また本iPS細胞およびGorlin症候群特異的iPS細胞を用いて分化誘導したところ、G201HiPS細胞は骨分化抑制とともにHedgehog経路の抑制 Wnt経路の活性化を認め、対照的にGorlin症候群iPS細胞においては骨芽細胞分化促進と石灰化の更新が認められた。さらにiPS細胞におけるcAMP産生においては正常iPSと比較するとG201HiPS細胞では亢進、Gorlin症候群iPS細胞では低下を認めた。さらにGorliniPS細胞においてはcAMP産生低下に連動して発現が上昇する転写因子群が存在することも明らかとなった。これら転写因子と骨石灰化の関係を検討したところ、特に密接な関係を示唆する転写因子を1つ同定した。 本転写因子は強制発現により骨石灰化亢進が認められた。以上より、GNASはcAMP産生を介して骨芽細胞分化誘導系の重要な調節因子として働き、主に調節を担う転写因子の発現を制御していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況は初期予定を概ね達成しており、大きな修正は必要ないが、cAMP濃度をリアルタイムに計測する蛍光物質の機能が当初予定されたものほど感度が良くないため使用を断念した。
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今後の研究の推進方策 |
GNAS-cAMP依存的骨芽細胞転写因子機能をG201iPSとGorlin症候群iPS細胞を用いて解析し、本転写因子の動態と骨芽細胞分化の詳細を解明する。さらに本転写因子が調節する標的遺伝子をChipアッセイにより同定し、レポーターアッセイ系を構築し、本転写因子が発現タンパク質を直接制御することを明確にする。 さらに、本転写因子を遺伝子編集技術をもちいて発現不能にした骨芽細胞、全骨芽細胞株化細胞を用いて、骨芽細胞分化誘導における重要性を明らかにする。
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