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2020 年度 実績報告書

顎顔面領域骨代謝性疾患におけるエピゲノム制御による新規骨リモデリング機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H03011
研究機関岡山大学

研究代表者

井澤 俊  岡山大学, 大学病院, 講師 (30380017)

研究分担者 川邉 紀章  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (00397879)
早野 暁  岡山大学, 大学病院, 講師 (20633712)
植田 紘貴  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10583445)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードエピジェネティクス / 顎顔面領域骨代謝性疾患 / シグナル伝達 / 骨リモデリング / 破骨細胞
研究実績の概要

破骨細胞は単球・マクロファージ系の血球系細胞から融合・多核化されて形成され骨吸収に重要な役割を果たす事が知られている。近年、Th17細胞が他のThサブセットとは異なり、その膜状に破骨細胞の分化に重要なRANKLを強力に発現していることが明らかになり、我々の予備的検討でもTh17細胞にASXL1が特異的に高発現していることを解析している。今回さらに、顎関節リウマチ病態におけるTh17細胞に特異的なマスター転写因子であるRORγT細胞や免疫末梢でのサイトカイン産生パターンを解析した。また、T細胞サブセットに対応するようにM1、M2マクロファージ等の新たなマクロファージの分類が提案され、新たに注目を浴びている。そこで顎顔面領域における口蓋部の創傷治癒についてマクロファージを中心に解析した結果、低酸素応答遺伝子の中で特に重要なHIF-1αが関係していることを明らかにすることができた。HIF-1αヘテロノックアウトマウスあるいはHIF-1α活性化薬剤の一つDMOGを用いることで口蓋の創傷治癒におけるHIF-1αの関与を証明することができた。さらに、HIF-1α欠損はM1マクロファージ(F4/80陽性かつTNFα陽性細胞またはF4/80陽性かつiNOS陽性細胞)とM2マクロファージ(F4/80陽性かつArginase陽性細胞またはF4/80陽性かつCD163陽性細胞)の口蓋損傷部への遊走を減弱させ、また、S1P/S1P1シグナルを介してマクロファージの浸潤機構に深く関わっていることを明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

T細胞サブセットに対応するようにM1、M2、M3マクロファージ等の新たなマクロファージの亜型分類が提案され、新たに注目を浴びている。そこで顎顔面領域におけるマクロファージ、破骨細胞などといった免疫担当細胞を中心に口蓋部の創傷治癒機構などをツールとして病的状況下でのエピゲノムの役割について詳細に解析することを当該年度の目標としていた。その結果、骨髄由来マクロファージのS1P刺激によりHIF-1αヘテロノックアウトマウス由来マクロファージと比較しWTマウス由来マクロファージにおいてS1P1レセプターの著しい発現上昇がみられた。また、S1P刺激によるMAPキナーゼ(ERK、Akt、p38)のリン酸化はWTマウスの骨髄由来マクロファージと比較してHIF1αヘテロノックアウト由来マウスにおいて急激に減弱している傾向を明らかにすることができた。今後はさらに、研究成果の学会および論文掲載の準備を進めている段階であることから、概ね順調に進展していると考えられるが、より詳細な検討を必要とする。

今後の研究の推進方策

これまでの申請者らの予備的研究結果ではマクロファージをRANKL刺激後にHIF1/ARNTとヘテロダイマーを形成することが知られているAhR (aryl hydrocarbon receptor) やBaP1の発現が急激に上昇するというデータを得ており、破骨細胞への分化や活性化の各ステージでBaP1、AhRが極めて重要な役割を果たしていることが示唆されることよりRANK/RANKLシグナルとBaP1との関係を破骨細胞の2つのエネルギー代謝であるミトストレス試験(ミトコンドリア呼吸)、酸素消費速度(OCR)、解糖系として細胞外酸性化速度(ECAR)を同時に計測しミトコンドリア生合成やグルタミン酸やTCA経路に着目し詳細に解析する。以上の内容の実験を遂行する上ではハード面、ソフト面ともに問題はない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] HIF-1α controls palatal wound healing by regulating macrophage motility via S1P/S1P1 signaling axis.2021

    • 著者名/発表者名
      Hutami IR, Izawa T, Khurel-Ochir T, Sakamaki T, Iwasa A, Tomita S, Tanaka E.
    • 雑誌名

      Oral Diseases

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1111/odi.13856.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The immunoregulatory role of p21 in the development of the temporomandibular joint-osteoarthritis.2021

    • 著者名/発表者名
      Khurel-Ochir T, Izawa T, Iwasa A, Kano F, Yamamoto A, Tanaka E.
    • 雑誌名

      Clin Exp Dent Res

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1002/cre2.404.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Loading history changes the morphology and compressive force-induced expression of receptor activator of nuclear factor kappa B ligand/osteoprotegerin in MLO-Y4 osteocytes.2020

    • 著者名/発表者名
      Wang Z, Weng Y, Ishihara Y, Odagaki N, Hsu Hlaing E, Izawa T, Okamura H, Kamioka H.
    • 雑誌名

      Peer J

      巻: 8 ページ: e10244

    • DOI

      10.7717/peerj.10244

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 核内受容体AhRはRANK/c-Fosシグナル伝達経路を介して破骨細胞の分化を制御する2020

    • 著者名/発表者名
      井澤 俊, 吉川 友理, 石丸直澄, 上岡 寛
    • 学会等名
      日本骨形態計測学会
  • [学会発表] Crosstalk between cytokine RANKL and AhR signaling in osteoclasts controls bone homeostasis2020

    • 著者名/発表者名
      Takashi Izawa, Yuri Yoshikawa, Naozumi Ishimaru, Hiroshi Kamioka
    • 学会等名
      The 9th International Orthodontic Congress (9th IOC)
    • 国際学会
  • [学会発表] 生体イメージングで捉えるRANKL/IGFシグナルを介した破骨細胞による乳がん遠隔転移骨破壊機構の解明2020

    • 著者名/発表者名
      井澤 俊
    • 学会等名
      日本骨代謝学会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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