研究課題/領域番号 |
18H03035
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荒木 敦子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (00619885)
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研究分担者 |
小島 弘幸 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10414286)
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
守屋 仁彦 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20374233)
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 内分泌かく乱物質 / 有機フッ素化合物 / 出生コーホート / 遺伝子多型 / 核内受容体 / 細胞アッセイ系 / 生殖ホルモン |
研究実績の概要 |
北海道スタディに参加者504名の母体血清中のPFOS/PFOA濃度と臍帯血中の性ホルモン濃度、臍帯血中DNAのCYP17A1、CYP19A1、HSD3B1、HSD3B2、HSD17B1、HSD17B3遺伝子にある12か所の一塩基多型(SNPs)を解析した。PFOS濃度とHSD17B1(rs676387およびrs2675531)遺伝型との交互作用がDHEA/A-dione濃度と関連を示した。HSD17B1遺伝型で層別解析したところ、HSD17B1(rs676387)-GG/GA型ではPFOS濃度が2倍増えるとDHEA/A-dioneは0.115(95%CI: -0.294, 0.065)減少したのに対し、AA型では0.476(-0.276, 0.979)増加した。HSD17B1(rs2676531)-CC/CT型ではPFOS濃度が2倍増えるとDHEA/A-dioneは0.138(95%CI: -0.335, 0.060)減少したのに対し、TT型では0.535(0.013, 1.057)増加した。児のHSD17B1遺伝型は、母体血清PFOS濃度と児の性ホルモン濃度との関連に違いを及ぼす可能性が示唆された。 in vitro細胞アッセイ系を用いてPFAS11化合物のpregnane X receptor(PXR)、constitutive androstane receptor(CAR)、peroxisome proliferators-activated receptor(PPAR)α、PPARβ、PPARγの各種ヒト核内受容体に対するアゴニスト活性を調べた。PFOA及びPFNAが高用量でPPARalpha;アゴニスト活性を示したが、PXR・CAR・PPARalpha,PPARganmaに対するアゴニスト活性は認められなかった。また、PFASsの遺伝子発現に及ぼす影響評価として、ヒト血中濃度の高いPFOA及びPFNAをそれぞれヒト肝細胞株に曝露してmRNAを採取した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ順調に進んでいる。第二次性徴に関する調査票を約1365人に発送し691人から回答を得た。併せて尿検体の収集を363人に依頼し319件の検体を保存した。胎児期PFOS/PFOA曝露と臍帯血中性ホルモン値に児がもつ特定のHSD17B1遺伝型が、関連の影響に違いを及ぼす可能性が示唆された。この結果は現在論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
第二次性徴に関する調査を継続し、男児の身長体重に関するデータを合わせて児の思春期発来の時期を確認する。胎児期のPFAS曝露濃度が児の思春期発来の時期と関連するか、解析を行う。in vitroアッセイについては、ヒト血中濃度の高いPFOA及びPFNAのヒト肝細胞株HepaRGに対する遺伝子発現変化をマイクロアレイ解析で調べ、典型的な変動遺伝子についてRT-PCR法で確認する。さらに、そのタンパク質の発現についてもWB法で確認する。ヒト血中の曝露マーカーとなり得るタンパク質である場合、検出感度の良い酵素抗体法(ELISA系)を確立する。
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