研究分担者 |
小島 弘幸 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (10414286)
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
守屋 仁彦 北海道大学, 医学研究院, 客員准教授 (20374233)
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
池中 良徳 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (40543509)
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研究実績の概要 |
疫学研究では、既存の出生コーホート「北海道スタディ」を用いた。9-11歳の前思春期の子どもから収集した血漿中性ステロイドホルモン14物質の一斉分析法の妥当性評価と測定を実施した。主要なホルモン中央値は、エストラジオール6.78 pg/mL、DHEA-S 270.4 ng/mL、プロゲステロン <LOD、テストステロン 0.13 ng/mLだった。胎児期の有機フッ素化合物(PFAS)曝露によるホルモンへの影響として、エストロゲン受容体ESR1の遺伝子多型と、第2指/第4指比との関連を検討した。第2指/第4指比は、胎児期テストステロン曝露を骨伸長をサロゲートマーカーとして評価する指標である。胎児期のPFOA曝露レベルが高いと、第2指/第4指比は増加して女性傾向を示し、さらにこの関連はESR1のrs2077647のAA型で顕著であった。PFAS曝露によるホルモンへの影響は遺伝子多型によって異なる可能性を示唆した。 ヒト肝細胞に近い性質を示すHepaRG細胞株に0.1% DMSO(コントロール群)、PFOA 10 microM(低用量群)、PFOA 100 microM(高用量群)をそれぞれ24時間曝露して得られたmRNAを用いて網羅的遺伝子発現(GeneChip)解析を行った。コントロール群との比較により、低用量群では上昇97個、抑制93個の遺伝子が、高用量群では上昇517個、抑制479個の遺伝子を見出した(変動倍率1.5以上、P < 0.05)。パスウェイ解析の結果、核内受容体関連遺伝子が最も多く抽出された。特に高倍率変動した遺伝子には、核内受容体PPARalphaやCAR活性化に伴うCYP4A11, CYP3A4, CYP2B6が含まれていた。さらに、いくつかのmiRNAが見出され、これらに制御されている遺伝子群は曝露マーカーになり得る可能性があると考えられた。
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