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2018 年度 実績報告書

環境要因による発達障害症状を早期に検出する幼若期モデル動物試験系の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18H03036
研究機関筑波大学

研究代表者

遠山 千春  筑波大学, 医学医療系, 客員教授 (10150872)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード行動試験 / 幼若期マウス / 発達神経毒性 / 高次脳機能 / 脳発達 / 安全性評価 / リスク評価
研究実績の概要

食品・環境中の有害化学物質への曝露や母体の感染症発症等は、発達期の脳の微細構造や機能異常を引き起こし、発達障害の発症リスクを増大させる。そこで、「環境要因に起因する発達障害症状を、より早く正確に検出する幼若期モデル動物試験法」を
世界に先駆けて開発する。この試験法は、最先端の非侵襲的無線行動解析技術と認知行動課題を組み合わせ、これを 3 週齢の幼若期マウスから適用可能にするものである。

本年度は、幼若期モデル動物の行動試験に用いることができるハードウェア仕様と試験プロトコルを作成すること、その上で、この方法の妥当性を成熟マウスに関する既存データと比較することで検証することを目標とした。先ず成熟マウス用の自動集団行動試験装置のハードウェア仕様を身体の小さい幼若期マウスに適用可能にすべく、発達期(体重8~20g)の複数のマウスの身体3Dモデル、及びそれらのサイズに合うように数パターンのハードウェアアタッチメントを作製し、装置全体を改造・改良した。その結果、幼若期マウスのデータ(オペラントユニットへのアクセス数および滞在時間、飲水回数など)が正確かつ安定的に記録できる装置を作製することができた。また、この自動集団行動試験装置を用いて、成熟マウス試験用に我々が既に確立した認知行動試験課題を幼若期マウスに適用し、データを取得することに成功した。すなわち、幼若期マウスと成熟マウスを用いて、認知課題としての一連の妥当性検証試験を行い、ハードウェア及びソフトウェア、ならびに試験プロトコルを含む行動試験アッセイシステムがほぼ確立した。次年度以降の研究のベースとなる実際的な方法論が確立できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

幼若期マウスと成熟マウスを用いて、認知課題としての一連の妥当性検証試験を行い、ハードウェア及びソフトウェア、ならびに行動試験アッセイシステムが再現性良く安定的に作動することが確認できた。成獣で完成している全自動行動試験システムではあるが、体重が成獣の三分の一程度の小さなマウスへの適用が当初の目論見通り進めることができ、所期の目標をほぼ達成でき、次年度以降の研究のベースとなる実際的な方法論が確立できた。しかしながら、当初予定していた学会発表、特許等の実績が間に合わなかったことから、次年度には、学会発表を行うとともに、論文執筆も開始をしたい。以上から、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

幼若期マウス行動試験装置を用いて、今後は2種類の発達期化学物質曝露モデルマウスの解析を行う。今年度は、成熟後の高次脳機能への影響や作用機序が成獣で解明されているエンドトキシンを妊娠期に母体に投与した母体免疫活性(MIA)群と、無処置群の2群の仔マウスを用いて比較検討する。前者は陽性コントロールとして用いる。来年度は、環境化学物質の周産期曝露による仔への行動影響を幼若マウスを用いて評価する。行動影響の顕著なモデルについては、免疫組織化学染色と共焦点顕微鏡を用い、行動表現型に関連する脳の器質的な組織学的変化を探索する。

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公開日: 2019-12-27  

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