研究実績の概要 |
DOHaD(Developmental Origins of Heath and Disease)の視点から思春期、青年期の健康支援に資する科学的根拠を創生することを目的としている。すなわち、胎児期から幼児期の環境要因と遺伝要因が、思春期および青年期の心身の健康に及ぼす影響を明らかにすることであり、特に、肥満、やせなどの体格、アレルギー、う蝕、メンタルヘルスをアウトカムとし、その要因を明らかにする。 2022年度は、例年のように乳幼児健診、思春期健診で本調査を実施した。そのデータをもとに、胎児期から幼児期に収集した生活習慣や社会経済学的変数に加えて、学校と協力した思春期調査で収集した児童、生徒の生活習慣と心身の健康状態をリンケージしたデータベースを作成した。 2022年度も成人期の調査を準備したが、コロナ禍の影響で実施できなかった。結局、当初予定のDNA採血等の調査はできなかった。しかし、調査票による調査は毎年実施でき、それを基にした解析を実施した。特に、ICT利用と思春期の生活習慣、メンタルヘルスの関連について成果をあげた。 具体的には、ネット依存傾向のある中学生はそうでない生徒に比べて、睡眠、学習時間、運動についてその時間が少ないことを明らかにした。また、うつ傾向がある生徒が多い子とも明らかにした。ネット依存とうつ傾向についてはA random intercept, cross-lagged panel modelにより、因果関係を推論し、ネット依存がうつ傾向の原因である可能性を示した。
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