研究課題/領域番号 |
18H03045
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
松尾 恵太郎 愛知県がんセンター(研究所), がん予防研究分野, 分野長 (80393122)
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研究分担者 |
尾瀬 功 愛知県がんセンター(研究所), がん予防研究分野, 主任研究員 (00584509)
伊藤 秀美 愛知県がんセンター(研究所), がん情報・対策研究分野, 分野長 (90393123)
中杤 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (10559983)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クローン性増殖 |
研究実績の概要 |
がんを含む生活習慣病において、喫煙・飲酒等の生活習慣がどれだけ蓄積しているかをバイオマーカーで把握出来るようにすることは、疾病予 防の可視化に繋がるものである。次世代シークエンサーの進歩により、血液学的異常がないにも関らず体細胞クローンが増殖するクローン性造血という現象が見いだされた。ク ローン性造血は、加齢、一次・二次性造血器腫瘍、脳梗塞、心筋梗塞等累積する生活習慣曝露と関連を持つ健康状態のリスク増加と関連する事 が報告され、クローン性造血が、環境曝露の蓄積指標である事が示唆される。 本研究では、(目的1)クローン性造血が、喫煙や飲酒といった生活習慣を含む環境要因によって経年的に蓄積される遺伝子変異を反映している事を明 らかにし、(目的2)クローン性造血が、がんを含む生活習慣病リスクとの関連を大規模な分子疫学研究により検証し、疾病予防可視化のツールとして のクローン性造血の可能性を探ることを目的として研究を実施している。既に、1)非がん者より(非喫煙・軽度喫煙・重度喫煙)と(非飲酒、軽度飲酒、重度飲酒)を組合わせた9グループ計720名を無作為に抽出 2A) 喫煙あるいは飲酒の影響が著しい食道がん180名、肺癌700名とこれらに性・年齢を適合させた非がん対照1760名(1:2マッチング)を抽出 、2B) 1、2の非がん者集団を複合させ、循環器疾患・脳血管疾患の既往者と非既往者にて横断的解析を行う集団、の3集団に対する次世代シーケンサー解析を終えている。 今後目的1,目的2に該当する関連解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がんを含む生活習慣病において、喫煙・飲酒等の生活習慣がどれだけ蓄積しているかをバイオマーカーで把握出来るようにすることは、疾病予 防の可視化に繋がるものである。 クローン性造血が、喫煙や飲酒といった生活習慣を含む環境要因によって経年的に蓄積される遺伝子変異を反映することを明らかにするため、令和元年度までに、次世代シーケンスにて以下の集団を測定した。以下集団に対して、測定結果を生活習慣等の情報とリンクし、最終的な関連解析が出来るようにした。 1非がん者より(非喫煙・軽度喫煙・重度喫煙)と(非飲酒、軽度飲酒、重度飲酒)を組合わせた9グループ計720名を無作為に抽出 2A) 喫煙あるいは飲酒の影響が著しい食道がん180名、肺癌700名とこれらに性・年齢を適合させた非がん対照1760名(1:2マッチング)を抽出 、2B) 1、2の非がん者集団を複合させ、循環器疾患・脳血管疾患の既往者と非既往者にて横断的解析を行う集団。
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今後の研究の推進方策 |
前述の、令和元年度までに、次世代シーケンスにて測定した以下の集団に対し、関連解析を実施する。 1非がん者より(非喫煙・軽度喫煙・重度喫煙)と(非飲酒、軽度飲酒、重度飲酒)を組合わせた9グループ計720名を無作為に抽出、2A) 喫煙あるいは飲酒の影響が著しい食道がん180名、肺癌700名とこれらに性・年齢を適合させた非がん対照1760名(1:2マッチング)を抽出 、2B) 1、2の非がん者集団を複合させ、循環器疾患・脳血管疾患の既往者と非既往者にて横断的解析を行う集団。 具体的に実施する解析として、測定した、28遺伝子のクローン性造血のデータを元に、1の集団に関しては、クローン性造血の有無に関する多変量ロジスティ ック分析を行い、喫煙・飲酒等の環境要因の非がん者におけるクローン性造血に関する影響を検討する。喫煙量・飲酒量間のクローン性造血に 対する相加的作用に関しても検討を行う。また、既に測定済のALDH2等の遺伝子環境要因交互作用が知られている遺伝子多型の影響も探索的に 実施する。目的2に関しては、クローン性造血の有無の食道がん・肺がんリスクへの影響を多変量ロジスティック回帰分析にて検討する。心血管疾 患への影響に関して、12の対象者のうち非がん者を、既往歴から心血管疾患有病者、非有病者で比較する多変量ロジスティック回帰分析を実 施する。何れの解析においてもオッズ比とその95%信頼区間を関連性の指標として用いる。以上の結果を持って、生活習慣のクローン性造血、あるいはその結果としてのがんを始めとする各種疾患への影響を明らかにする。 またクローン性造血に関して、遺伝子多型アレイを用いた解析手法が新たに報告されており、この方の可能性に関しても既存データを用いて検討を予定している。
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