研究実績の概要 |
川崎市との共同により、川崎市に在住の日常生活に介護を必要としない85-89歳の元気な高齢者の郵送・電話リクルートを行い、2018年12月末までに1,026人の調査参加者を得た。具体的には川崎市に在住の85-89歳の市民24,175名のうち、要介護認定を受けていない方、および要支援1までの日常生活が自立している方12,906人を同定した。この中から9,978人に調査参加の依頼状を郵送し、参加の意向を郵送にて表明した1,464名のうち、1,026名が実際に川崎市立川崎病院、井田病院、多摩病院のいずれかを受診し、健康調査に参加した。これにより、この年代の自立高齢者を対象とした疫学研究としては世界最大の調査コホートが確立された。 研究分担者の小熊は、コホート研究対象者の約9割の方に3軸加速度計の装着をお願いし、身体活動度を客観的に測定することに成功した。その結果、女性の方が男性よりも坐位行動時間が短く、これは掃除や食事の準備などの家事活動の多寡によることを見出した。 研究分担者の漆原は、地域在住高齢者におけるポリファーマシーと抗コリン作動薬及び鎮静作用薬が身体・認知・精神に与える影響の評価し、論文としてまとめる準備を進めている。 調査参加者には研究代表者である新井が直接、研究の趣意説明を行い、文章による同意を取得したうえで、個人情報、医療情報の提供、健康調査への参加、研究期間中の後期高齢者医療保険および介護保険情報の提供についての同意を得た。これにより、本研究課題の主目的である社会保障データベースとコホートデータの融合した統合データベース確立への準備が整った。個人情報は本研究とは関連のない個人情報管理者によって厳重に管理されている。
|