研究課題/領域番号 |
18H03056
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
谷川 武 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80227214)
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研究分担者 |
淡野 寧彦 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (10591951)
丸山 広達 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20627096)
斉藤 功 大分大学, 医学部, 教授 (90253781)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 交通事故 / 危険因子 / 社会環境 |
研究実績の概要 |
2019年度では、2009年度のベースライン調査ならびに2014年度の5年後追跡調査に参加した対象者に10年後追跡調査を実施した。その結果、2009年のベースライン調査ならびに2014年度の5年後追跡調査に参加した217名、2014年の5年後追跡調査から参加した46名、今年度より新規で参加した91名の、計354名に対して調査を実施することができた。 また、2017年度までの既存データを用いて、Psychomotor Vigilance Task(PVT)による客観的な眠気の評価と交通事故経験との関連における主観的な眠気の与える影響について縦断的に検討した。その結果、全体では平均反応時間の逆数の第1四分位群に対して第4四分位群では、交通事故経験の多変量調整オッズ比は0.32と有意に低かった。同様に、主観的な眠気がない群とある群における第4四分位群の多変量調整オッズ比は0.31と0.31と有意に低く、主観的な眠気の有無にかかわらず、平均反応時間の逆数の増加は交通事故経験のリスクと関連することを明らかにした。 さらに、睡眠呼吸障害と交通事故経験との関連について縦断的に検討した。その結果、女性において睡眠呼吸障害がない群に比べ、ある群において交通事故経験の多変量調整オッズ比は1.63と有意に高かった。また、主観的な眠気の有無により層別解析を行った結果、主観的な眠気がない群においてのみ有意な結果が得られたが、睡眠呼吸障害と交通事故との関連における主観的な眠気による有意な交互作用は認められなかった。このことから、交通事故予防において主観的な過度の眠気の有無にかかわらず、睡眠呼吸障害のスクリーニングが重要である可能性を示した。 これらの研究成果について、World Sleep 2019にて、ポスター発表を行った。また、原著論文として国際誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は354名の対象者に対して追跡ならびに新規調査を実施することができた。また、健康起因事故の危険因子についても、客観的眠気や睡眠呼吸障害との関連を明らかにすることができ、本年度は計画通り進んでおり、研究進捗状況は概ね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度では、申請者らが共同運営しているコホート研究「東温スタディ」において、2010年度ならびに2015年度の受診者655名を対象に追跡調査を実施する。また、既に調査を終えた約1,700名の疫学データを用いて、「軽度認知障害」「睡眠問題」「生活習慣(カフェイン飲料など)」「注意力」といった健康課題と交通事故との関連をコホート解析する。さらに、事故経験者の居住地域の地理情報から、対象者の居住地域の環境について地理学的・社会心理学的考察を行う。
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