研究課題
本研究は、若年成人期・中年期の生活習慣や健康状態(健診成績)と高齢期の健康状態との関連を調べることを目的としており、2018年に退職者に対して、フレイルや認知機能の評価、腹部超音波、社会参加の状況の調査等を含む包括的な調査を実施した。2002年の血糖値と16年後の認知機能が負に関連することを見出した結果をJournal of Epidemiologyに原著論文として公表した。また、発症スクリーニングのための病歴自己申告調査と合わせて実施したJST版活動能力指標及び精神的健康に関する質問紙調査の2,289名の有効回答のデータベース化を今年度は完成し、退職後の生活習慣とともに統計解析を開始した。具体的な結果は以下の通りである。調査時60歳以上であった回答者2,215名のうち、1,893名(85%)が男性で、平均年齢は69.3(中央値70歳、範囲:60-83歳)、7.8%が独居、51.8%が二人世帯であった。JST版活動能力指標の新機器利用3点以上、情報収集4点以上、生活マネジメント4点以上、社会参加2点以上(JST版活動能力指標利用マニュアル第2版による100人中上位50位のカットオフ値)の割合は68.2%、38.1%、26.5%、70.8%であった。本研究では、研究ベースとなっている愛知職域コホート研究の在職者の生活習慣等の継続的な調査及び対象者の追跡調査を、継続して実施しており、在職者を対象に、病歴スクリーニング調査を実施した。これらの結果に基づき、糖尿病、急性冠血管疾患、脳卒中に関連する要因についての検討を継続して行った。
2: おおむね順調に進展している
本研究で具体的に実施する事項と計画した在職者調査と退職者調査をそれぞれ実施し、データベース化が完了した。また血液及びDNAの保存も計画通り実施できている。また本研究で明らかにすることを目的とした、若年成人期・中年期の生活習慣や危険因子の状況と退職後の健康状態との関連については、統計解析を継続して実施しているが、軽度認知障害発現リスクについて論文公表できた。また、退職公務員の生活の特徴ならびに在職中の要因との関連性についても統計解析を実施しており、概ね計画通りと考える。
計画最終年度であり、研究計画において具体的に実施するとした各事項について、統計解析・論文公表を行っていく。また2020年度に実施した在職者に対する病歴スクリーニング調査結果に基づき、主治医に対する詳細な調査を実施する。さらに退職者に対する定期的な病歴自己申告調査を実施するとともに、生活習慣の変化についても確認する。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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