これまでDNA多型(SNPs等)の違いに基づく、疾患素因や中毒代謝に関わる様々な遺伝的多型に関する研究を推進してきた。 その途上で法医解剖時のデータを用いたtraitとSNPsに関する調査も行っている13)。 Genome-wide association studiesにより約50の遺伝子多型が身長と関連することが示唆されている14)。胎生期の成長に関与するhigh mobility group-A2 (HMGA2)遺伝子内や、LIM homeobox 3 (LHX3)-quiescin Q6 sulfhydryl oxidase 2 (QSOX2) およびinsulin-like growth factor 1 (IGF1)内のSNPsは身長との関連が報告されており、我々も日本人についての精査を行ってきた15)。今回、HMGA2、LHX3-QSOX2及びIGF1遺伝子内各計6SNPsと日本人集団の身長との関連についてさらに例数を増やして調査を行い、また、身長以外の臓器重量についても同様に関連があるかを予備的に調べた。LHX3-QSOX2内SNP (rs 12338076)とIGF1内の SNP s(rs1457595; rs17032362)は、今回調査した日本人では身長と有意な関連がみられなかった。次に、これらSNPsの頻度分布調査の結果、rs 12338076ではアジア人とコーカシア人で Aアリル優位、アフリカ人ではCアリル優位であった。rs1457595は全民族でCアリル優位であった。rs17032362はアジア人ではGアリル優位であったが、コーカシア人、アフリカ人では全てAアリル優位であった。
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