研究課題/領域番号 |
18H03066
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
太田 茂 広島大学, 医系科学研究科(薬), 名誉教授 (60160503)
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研究分担者 |
奥田 勝博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00389115)
佐能 正剛 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (00552267)
古武 弥一郎 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20335649)
清水 惠子 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90312462)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 危険ドラッグ / 毒性 / 動態 / 構造活性相関 |
研究実績の概要 |
危険ドラッグの使用による事件・事故は大きな社会問題となっている。最近は、規制強化によりその頻度は低下したものの、継続的にいくつかの危険ドラッグが指定薬物に指定されている。また海外での流通状況も考えると、これまでの包括規制の枠を超えた新規危険ドラッグが今後も出回る可能性がある。その被害を拡大させないよう、そして先手を打って法規制するためにも、新規危険ドラッグが出回る前に、その化学構造、毒性や体内動態について予測することが重要となる。本研究では、新規危険ドラッグの化学構造を予測し、中枢・末梢組織における毒性発現のメカニズム解明とその鍵となるトキシコフォアの同定、さらには持続性や組織移行性も精査した上で、化学構造と毒性・動態相関を明らかにし、今後の法規制の一助とすることを目的とする。 中枢毒性に関して、カチノン誘導体をマウスに投与し自発運動量を測定したところ、興奮活性が認められた。SH-SY5Y細胞でドパミン再取り込み阻害活性を評価したところ、in vivo における興奮活性はin vitroドパミン再取り込み阻害活性を概ね反映していた。また、出芽酵母遺伝子過剰発現ライブラリーにフェネチルアミン誘導体を曝露したところ、特定の遺伝子の耐性株を見出した。この遺伝子は、新しい毒性メカニズムを解明する上で重要な知見となる。 また、カチノン誘導体においてアラキドン酸代謝に関わるシトクロームP450 2J2(CYP2J2)阻害活性を示す化合物を見出した。CYP2J2阻害により心臓保護作用のあるアラキドン酸代謝物EET が減少し不整脈が引き起こされる可能性を考慮すると、本知見は、カチノン誘導体の心毒性メカニズムを解明する手掛かりとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カチノン誘導体やフェネチルアミン誘導体を用いて、中枢毒性評価をin vitro、in vivo両面から進めることができた。また、末梢毒性評価の一環として、心筋細胞を用いた評価を行い、毒性メカニズムを解明する上で重要な知見も得られた。成果の一部は学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
危険ドラッグの化学構造だけでなく、中枢に作用する医薬品の部分構造も考慮しながら、引き続き定量的構造活性相関が統合的に理解できるようにデザインした誘導体合成を行う。in silicoによる各標的タンパク質とのドッキングスタディーを組み合わせることにより、構造活性相関を明確にしたい。さらには、新規の毒性標的となるタンパク質も同定したいと考えている。 一方、末梢毒性評価においては、マウス・ラットから単離した肝細胞、心筋細胞および骨格筋繊維細胞もしくはそれぞれの株化細胞を用い、評価化合物を曝露し、細胞生存率を考慮しながら、新しい毒性メカニズムを探索する。 薬物動態評価においては、評価化合物をマウス、ラットに投与後の脳、骨格筋、心筋における被験物質の濃度、毒性に関連する内在性物質の濃度を測定し、毒性発現と動態の関連性を精査する。
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