研究課題
2021年度までに研究協力の承諾が得られていた9つの精神科病院において、「重度・慢性精神障害者のためのセルフケア・アセスメント・ツール」を用いて長期入院患者のセルフケアを遂行する能力を評価し、看護計画を立てて看護介入/ケアを実践した。最終年度までに、6ヶ月以上のセルフケア看護介入/ケアを実践できた事例は45事例であった。セルフケア看護介入/ケアを実施した看護師は、セルフケア・アセスメント・ツールを用いて患者ケアを見直すことで、患者の日常生活の新たな面に関心を向けることができ、話をする機会が増えることで患者の意向を把握することができた。また、セルフケア看護アプローチは、他職種を含めた病棟のチームの働きかけが必要になり、チームの変化が患者の変化につながっていることが明らかになった。セルフケア看護介入モデル案は、アセスメント・ツールを用いてセルフケア能力を評価し(第1回事例検討)、3ケ月後の事例検討(第2回)を経て、看護介入/ケアから6か月後にセルフケア能力の再評価(第3回事例検討)を実施した10事例と、看護師の病棟交代等のために看護介入/ケアの実施期間が1年以上となった3事例のデータ分析を基に検討した。6か月以上、看護介入/ケアを実施した事例の介入前と介入後を比較すると、各領域のセルフケアレベルそのものの評価には大きな変化はないが、日常生活において自己決定できる場面が増え、生活の質に変化が出ていることが明らかになった。また、事例検討によってセルフケア看護介入/ケアが患者に及ぼす影響や変化の意味が分かり、それが実践する看護師のサポートになることが明らかになった。これらを踏まえて、患者のセルフケア等に関するデータのアセスメントによって明らかにした課題とその課題に対して実施する看護介入/ケア、介入によるセルフケア能力の変化の評価からなる看護介入モデル案を作成した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。