研究課題/領域番号 |
18H03087
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野末 聖香 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 教授 (10338204)
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研究分担者 |
久保 美紀 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (00458960)
白石 泰之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (00752700)
佐藤 雅明 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (20365498)
福田 紀子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 准教授 (50611050)
河野 隆志 杏林大学, 医学部, 教授 (60327509)
田久保 美千代 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 助教 (70846716)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心不全 / 睡眠 / 生体センサ / メンタルヘルス / 遠隔医療 |
研究実績の概要 |
本研究は、生体センサを用いて心不全患者の睡眠状態をモニタリングし、遠隔的にこころと睡眠に関する看護支援を試行して、心不全患者の睡眠およびうつ・不安の予防、改善を図る遠隔看護プログラムを開発することを目的としている。2021年度の実績は以下の3点である。 1)心不全患者を対象とした質問紙調査の分析:2つの研究協力施設に通院する心不全患者を対象に実施した睡眠状態、身体状態、精神状態、セルフケアなどに関する質問紙調査のデータ分析を実施した。不眠と評価された対象者が1/3程度あり、不眠重症度を従属変数とする重回帰分析の結果、感情、睡眠のセルフケア行動、不安の3変数を独立変数とする有意な回帰式が得られ、日常生活の側面からこころと眠りのセルフケアを支援することの有用性が示唆された。また、確認的因子分析によって抽出された3つの潜在変数(疾患管理、こころの健康、QOL)間の関連構造について共分散構造分析によるパス解析を行い、心不全患者の疾患管理においてこころの健康を高める介入を行う重要性を示す結果が得られた。 2)睡眠センサ機器を用いた睡眠データ収集システムの構築:健常人5名を対象に、睡眠センサ機器を用いた睡眠のモニタリングとデータ収集・集約および睡眠センサ機器に対する使い勝手について予備的調査を実施した結果、睡眠データ集約システム、対象者毎に睡眠日誌を可視化するシステムが構築できた。睡眠センサは、設置が簡便で対象者への負担が少なく、遠隔支援に有用なセンサであることが確認できた。 3)遠隔的支援プログラムの開発及び心不全患者への適用の検討:心不全患者の質問紙調査結果および睡眠支援に効果が示されている手法を参考に、遠隔的看護支援プログラムについて検討を重ね、支援プロトコール及び心理教育教材を作成した。慢性心不全患者を対象としたパイロットスタディを計画し、実施予定施設の研究倫理審査を受け承認を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度内に心不全患者を対象とした遠隔的看護支援プログラムを開始する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大により心不全患者を対象とした質問紙調査が中断されてデータ収集が遅れ、そのデータ分析結果をもとに作成予定としていたプログラム開発にも遅れが生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、1.外来通院する心不全患者を対象として実施した睡眠状態、精神状態、セルフケアに関する実態調査のデータ分析結果をまとめる、2.外来通院する心不全患者を対象とした生体センサによるデータ集約システム、遠隔支援システムを構築する、3.外来通院する心不全患者を対象とし、生体センサを用いた双方型遠隔看護「こころと眠りの支援プログラム」を実施・評価する、を行う。 1.心不全患者を対象とした質問調査の結果を、関連学会に論文投稿を行う。 2.健常者を対象とした睡眠状態、精神状態に関するデータ集約システムに関する予備的調査結果を関連学会で発表する。また調査結果をもとに、外来通院している心不全患者用睡眠データ集約システムおよび双方向型の遠隔支援システムを構築する。 3.今年度はパイロットスタディを実施する。支援プログラムを少数の対象者に実施し、実施可能性の検討を行い、介入内容と方法を明確化することを目指す。
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