研究課題/領域番号 |
18H03091
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研究機関 | 関西看護医療大学 |
研究代表者 |
奥津 文子 関西看護医療大学, 看護学部, 教授 (10314270)
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研究分担者 |
桂 敏樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (00194796)
太田 智美 関西看護医療大学, 看護学部, 助教 (20784440)
真田 弘美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50143920)
犀川 由紀子 関西看護医療大学, 看護学部, 講師 (60556744)
星野 明子 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (70282209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 下肢リンパ浮腫 / セルフケア支援システム / モバイルデバイス |
研究実績の概要 |
今年度は、まず全国的リンパ浮腫患者組織である「あけぼの会」より研究協力者を募り、下肢リンパ浮腫のセルフケアについて、聞き取り調査を実施した。その結果、セルフケアが確立していると思われる患者は、スキンケア・弾性着衣の装着・徒手リンパドレナージ・体重コントロールが日常生活の中に組み込まれ習慣化しており、非常に柔軟に対応できていることがわかった。また日常生活の細かな注意点については、発症当初は戸惑いが大きかったが、その時々でどのようにすべきか、失敗しながら、また患者会仲間との情報交換により、自分なりの方法が確立できていったことがわかった。モバイルデバイスを活用することによりセルフケア確立過程を効率的に進めるために、組み込むべき内容を抽出した。その結果、①日常の観察項目と危険なサイン、②下肢の周囲径と体重の掲示記録と警告の表示、③徒手リンパドレナージの動画、④弾性着衣の装着方法の動画、⑤バンデージの方法(動画と図示)、⑥日常生活で迷う場面についてのクエッション&アンサー、以上6点を組み込めないか、また、低価格で運用でき患者にとって使いやすいものを作れないか、検討した。専門家より助言を受け、スマートフォンを使用し、LINE・ホームページ・YouTube の連携で実現できるとの結論を得た。さらに詳細な情報はホームページより入手できるようにし、また動画はYouTube で配信することにした。依頼業者を選定し、アプリ開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前より交流のあった「あけぼの会」会長・副会長の助力を得て、データ収集が進んだ。また、7月には国際リンパ浮腫フレームワーク・ジャパン研究協議会 第7回学術大会に参加し、情報収集した。さらに8月にはThe 32nd World Congress on Advanced Nursing Practiceにおいて、Trends in Japanese nursing research for cancer-related lower limb lymphedemaとのテーマで発表し、世界のリンパ浮腫ケアに関する情報を広く収集することができた。10月には、リンパ浮腫治療学会第4回学術総会を主宰し、日本のリンパ浮腫治療に携わる臨床家の知見を集め、参加者に提供することが出来た。こういった活動を通して収集した情報・研究データを、専門家の助言を得ながらアプリ開発に活かし、研究開発を進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、開発したアプリのプロトタイプの試行とその評価・修正を行い、どこでも誰でも簡単に使用でき、かつセルフケア支援に貢献できるアプリに開発を進める。特に来年度は、リンパ浮腫患者が高齢化している点を鑑み、簡単に使用できることに重点を置いて進める。プロトタイプ評価には、後藤学園リンパ浮腫研究所に通院する下肢リンパ浮腫患者およびリンパ浮腫患者会「あけぼの会」会員に協力依頼する予定である。医師およびセラピストが研究協力において危険が無いと判断しかつ、リンパ浮腫患者本人の研究協力に対する意思が明確である患者を抽出する。その結果を踏まえ、プロトタイプの評価修正に取り組む予定である。
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