研究課題/領域番号 |
18H03094
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
奈良間 美保 京都橘大学, 看護学部, 教授 (40207923)
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研究分担者 |
松岡 真里 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30282461)
堀 妙子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (40303557)
茂本 咲子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 准教授(移行) (60336641)
山本 弘江 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (80251073)
高橋 由紀 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (80346478)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 親子の相互作用 / 医療的ケア / NICU / 介入研究 |
研究実績の概要 |
1.「子どもとわかり合う感覚」に関する文献検討 新生児期からの医療的ケアを継続的に必要とする子どもの親が、成長過程において「子どもとわかり合う感覚」をどのように実感していくのかを詳細に明らかにするために、引き続き文献検討に取り組んだ。鯨岡(2006)による相互主体的関係を中心概念として、先行研究との関係を検討した。医療的ケア児と共に生活する家族や、乳幼児期に長期入院を体験した家族への調査において、親が感じとる子どもの苦しさや穏やかさなどの様々な思いや感覚は、親自身の辛さや喜びと共に実感されていることが見出された(上原他,2016,松浦他,2017)。以上より、相互主体的関係に着目し、子どもとの間で生じる親の感覚を明らかにすることは、医療的ケアを継続する子どもと一緒に家庭で生活することに困難を感じる親への支援に新たな知見を提供し、ひいては看護師対象の研修プログラムにおいて有用な示唆が得られると考えた。 2.研修会の評価・準備 「子どもとわかり合う感覚」を親と共有する看護の方策を検討する一環で、これまで研究者らが取り組んできた「子どもと家族主体のケア」の理念のもとに実施した小児在宅ケアコーデイネータ―研修会の評価を行うことを目的に、研修を修了した看護師(以下、看護師とする)へのweb調査を実施した。研究代表者の所属施設の倫理審査委員会の承認を得て、2020年3月に調査を実施した。調査は看護師の現在の活動状況と子ども家族主体のケアに対する認識及び実施に関する内容で、48名の回答が得られた。回答の概要を分析した結果、9割以上が研修会の学びが役立っていると回答し、その意義を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「子どもとわかり合う感覚」に関する文献検討に取り組んだ結果、子どもと親の相互主体的関係に着目する意義を見出すことができた。これを中心概念として、NICU/GCUに入院した経験をもち、医療的ケアを継続する子どもと親の相互主体的関係の特徴を明らかにすることを目的に、親へのインタビューを計画した。研究代表者の所属施設の倫理審査委員会に申請し、承認を得た後、周産期母子医療センターへの調査依頼を開始したが、同時期にCOVID-19の感染拡大を受けて、調査依頼及び実施が困難となったため、年度内の調査の実施には至らなかった。 一方、研修会の評価・準備としては、「子どもとわかり合う感覚」を親と共有する看護の方策を検討する一環で、これまで研究者らが取り組んできた「子どもと家族主体のケア」の理念のもとに実施した小児在宅ケアコーデイネータ―研修会の評価を行うことを目的に、研修を修了した看護師(以下、看護師とする)への調査を実施した。web調査による方法であったため、計画に基づいておおむね順調に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
親へのインタビューについては、COVID-19の推移を注視しながら、改めて周産期母子医療センターの看護部長、患者会・福祉施設・NPO関連施設等の代表者に調査依頼を行う時期を検討する計画である。また、対面式インタビューの実施が困難となった場合に備えて、web調査についても検討する。その場合は、研究計画に修正を加えて倫理審査委員会に再申請する。 研修会の評価として実施した小児在宅ケアコーデイネータ―研修会に参加した経験のある看護師へのweb調査については、引き続きデータ分析を進めて、研修会の準備に向けた基礎資料とするともに、その成果を公表する計画である。
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