研究課題/領域番号 |
18H03112
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福井 小紀子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40336532)
|
研究分担者 |
内海 桃絵 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40585973)
樋口 明里 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60799188)
吉内 一浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70313153)
前田 一石 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床講師 (70706639)
山川 みやえ 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80403012)
山本 則子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90280924)
田中 晴佳 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90756925)
樋上 容子 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (60706927)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ケアの最適化 / ケアモデル開発 / 科学技術 / データ統合 / 生体計測 |
研究実績の概要 |
3年計画の2年目である令和元年度は、1)本研究課題に関連する医学、看護学、工学系の関連文献のうち、最終アウトカムとなる死亡につながる高齢者の状態変化・経過に焦点を絞り込み、更なるレビューを行った。2)初年度から2年目前半までに、センシング機器の活用実績をもつ企業と協働で、病院と施設にて同意の得られた対象者150例に対して、非接触の計測機器を用いてバイタル等の「生体データ」と看護記録や電子カルテ等から「ケアデータ」を収集し、これらの「①生体データ」と「②痛み、痒み、呼吸苦、排泄障害などの問題事象および死亡」との関連性を経時的に分析し、成果をまとめた。 一方、ケアデータについては、看護師等が行ったケアは看護記録等に記載された断片的な限りのあるデータにとどまったことから、問題事象をリアルタイムで網羅的に収集することが新たな課題となることが判明した。このため、3)ケア記録システムを開発し、施設や病院に導入している実績を持つ新たな企業との協働準備を開始し、その記録システムを導入し、リアルタイムでケアデータを集積している特別養護老人ホームを運営する3法人に対して繰返しの説明を行い、研究協力の同意を得るとともに、所属大学への倫理申請を行い、承認を得た(令和2年1月)。そして、3年目に向けて、ケアデータの収集を数年間の数百例に対して行う計画準備を進めた。4)本研究期間の3年間を通して、センシング機器にて網羅的に捉えられる呼吸数、脈拍数、活動量といった「生体データ」と、睡眠、排泄、皮膚トラブル、ストレス、予後等の観察事項と介入内容といった「ケアデータ」とを突合し、解析することで、療養者の生活や健康上の問題発生を推定する「早期問題予測ツール」の開発と、その予測状況を根拠に、医療介護職にケアの優先順位や内容をメニュー化して提案する「最適ケアモデル」の開発に向けて、上記1~3の取組を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記載したように、これまでの期間で、「生体データ」の集積は、初年度から研究協力依頼をしてきた病院と施設の療養者を対象に順調に進めることができている。 一方、昨年度夏以降、それまでに十分に収集できなかった「ケアデータ」部分のデータ収集の準備を新たに進めるために、新たな協力機関としての企業と複数施設の同意を得て、倫理申請の承認まで準備を進めていた。 しかし、新型コロナウイルスの拡大に伴い、協力機関に出向き、実際の実践を把握すること、そして、施設に集積されているケアデータの詳細な内容を確認することができなくなったことから、本研究のデータセットを組み、データ収集を行い、解析を行うことが叶わず、約半年の遅れが生じているため。
|
今後の研究の推進方策 |
3年間の1年目前半は、状態が悪化する終末期患者と状態が改善する回復期リハビリ患者の2対象を選定し、これら対象の状態を連続的に把握することを目的として、非接触の機器の選定を行った。併せて、看護記録や診療記録に集積されているケアデータの項目の確定を行った上で、研究協力機関とのデータ収集開始準備に時間と労力を費やした。 1年目後半から2年目前半は、機器を購入し、研究協力機関のスタッフと対象者に対する説明と同意を十分に行い、生体データとケアデータの収集を進めた。その間、ケアデータについては、看護師が行う判断や介入がリアルタイムに看護記録や電子カルテ等に記載されていないという課題に直面したことから、記録システムを既に導入しており、リアルタイムに長期間ケアデータを集積できている複数施設へ研究協力機関を拡大し、ケアデータのデータ収集を追加で行う準備を進めた。 このようななか、昨年度冬以降にコロナ感染の影響で、研究協力機関における新たなケアデータの項目把握とデータセット作成ができなくなったことから、半年遅れで研究の進行に影響が出ている。しかし、コロナが収束したら研究の再開は可能であるため、事態が落ち着き次第、できるだけ早く新たなデータ収集を再開する予定としている。また、引き続き、本研究の前半に進めてきた生体データを中心とする研究成果は分析を進め、まとめていく予定である。
|