研究課題/領域番号 |
18H03115
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
大塚 眞理子 宮城大学, 看護学群, 教授 (90168998)
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研究分担者 |
丸山 優 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (30381429)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 多職種連携 / 連携ケア研修 / 社会実装 / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、応募者らが先行研究で開発した「認知症高齢者と家族の長期療養を専門職連携実践(Interprofessional Work;IPW)で支える研修プログラム(以下、認知症継続ケア研修)」の研究成果を特定地域で社会実装し、その評価を行うことである。 1年目である平成18年度は、フィールド開拓及び研究組織を作った。ゲートキーパーであるA町の町長に研究協力の同意を得て、保健福祉課及び直営の地域包括支援センター、A町社会福祉協議会、公立病院1か所、老健1か所、特養2か所、地域の調剤薬局の協力を得て、研究コアメンバーを組織した。A町の認知症施策、認知症ケアの課題抽出およびベースライン調査を実施した。 A町の認知症施策、認知症ケアの課題抽出については、研究者と地域のコアメンバーで2回の研究会、6回のプロジェクト会議等を行った。ベースライン調査は、①65歳以上地域高齢者対象、②地域の支援者対象、③病院等施設の専門職対象、④在宅サービスの専門職対象の4種類の調査を実施した。①A町5行政区から無作為抽出で3192世帯に調査票を配布し、世帯内の65歳以上高齢者1名に回答を依頼し470人(14.7%)の回収を得た。②民生児童委員、行政区長、保健推進員、認知症サポーター等地域の支援者230人に調査票配布し、162人(70.4%)の回収を得た。③1病院1老健の全職員281人を対象に調査票を配布し、122人(43.4%)の回収を得た。④地域の診療所や薬局および居宅介護事業所の専門職384人に調査票を配布し、222人(43.4%)の回収を得た。調査結果の解析中であり、調査結果のフィードバック方法及び抽出した課題と調査結果を踏まえて、次の段階の取り組みを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、ベースライン調査を2年目に予定していたが、1年目の後半にはベースライン調査についての話し合いができるようになり、年度内に調査を実施することができた。 当初の計画以上に進展している理由は、フィールド開拓が順調であったこと、研究体制づくりがうまくいったこと、会の運営方法を工夫していることと考えている。 フィールド開拓については、研究代表者が平成16年からA町にかかわってきており、地域との関係づくりの基盤があったことによる。看護学生が高齢者と交流するための教育フィールドとして地域包括支援センターや社会福祉協議会、地域の行政区長や民生委員と関係づくりをしていた。また、公立病院で老年看護実習を行っていた。地域で開催している研修会の講師を務めたりもしてきた。 研究体制づくりでは、研究組織を2層構造としたことが要因と考えている。先行研究を行った研究者集団に加え、A町近隣の新しい研究者を加えて研究会を開催したこと、A町のコアメンバーと新しい研究者集団でプロジェクト会議を開催していることである。また、A町の町長が研究によって職員の負担増を懸念していたことから、日常業務がある地域のコアメンバーに研究の負担を与えないように十分配慮している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度にベースライン調査が実施できたので、2年目はその結果分析を行い、具体的な取り組みを行う。結果のフィードバックについては、地域のコアメンバーと話し合い、住民や関係者に知らせていく。A町の認知症施策を踏まえて認知症継続ケア研修の計画を立てて、実施していく。A町では課の再編成など行政改革が行われており、公立病院でも業務改善の取り組みが行われているので、研究として新たな研修や取り組みを計画するのではなく、行政や施設の取り組みに乗じて協働して行うこととする。研修内容については、先行研究の研究者との研究会を増やし、地域特性を踏まえた研究成果の社会実装方法について検討する。 関係する学術団体に発表するなど1年目の研究成果を公表していく。
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