研究課題/領域番号 |
18H03120
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
神原 咲子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (90438268)
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研究分担者 |
石峯 康浩 鹿児島大学, 地震火山地域防災センター, 特任准教授 (40450259)
秋山 祐樹 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (60600054)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 減災ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、災害時の水・食糧・生活環境・健康に関する「人・場所・時間」データを構造化し、地域の全体最適を目指した減災ケアの情報共有モデルを構築することである。 情報の確実性評価と災害時に有効な手段を検討するために、岡山県倉敷市において、避難所の位置・名称情報の同定と地図情報システム上への表出を行った。指定避難所以外の避難、車中泊の多様化のほか、個人・家族の状況を改善するために、避難先を変えたり、自宅や親戚宅を行き来する行動が見られ、全体像を把握することの課題が明らかになった。減災ケアのニーズ情報をケア提供者別、対象者別、ケア提供場面及び時期別に分類し項目化する。「水・食糧・生活環境・健康」に関して、必要最小限の基礎情報項目を抽出した。既存の避難所アセスメント票、保健医療アセスメント票、避難所連絡票、及びWHO-EMSを比較し、共通の項目を検討したところ、先行研究で得られている水・食料・生活環境・健康を軸に見たところ、避難所の重要な視点として水問題を衛生問題として抱合的に捉えることが必要であると考えられた。これらの中の個々の単語について、分野を越えた情報交換や時系列で連結できるように、表記・意味を統一化した共通語彙案とするための操作的定義として、WHOが示す国際機能分類(ICF)を用いることとした。有効なデータの抽出法を検討するために、決められたアセスメント項目以外の情報共有者(行政・災害対策本部や保健医療支援者等)に関しても、2019年度の水災害に着目し、実際の活動における会話や会議録などを収集した。 情報共有者を一つの組織と見立て、組織全体を通じた業務・システムの最適化を図るため、高知市を対象に災害対策本部における情報共有訓練への参加、及び情報伝達のシミュレーション実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は災害が多発し、その中で様々な課題が明らかになった部分もあり、当初予定していた点ができなかった部分もあり、方法や対象の変更もあったが、概ね予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
昨年の研究の中で、災害時の情報の運用、利活用に関わる点での合意形成や目標設定が必要であるとわかった。平成31年度はまず減災ケア情報共有システムのプロトタイプを作成する。 一方で、実用可能な運用を検討するために、昨年情報収集した岡山県倉敷市において、エスノグラフィとしてリアルな時間軸、課題を想定して描写し、(1)業務体系、(2)データ体系、(3)分析体系、(4)利活用体系に分け、業務とシステムの現状とゴールを整理し、実用可能なケアのための情報の創出、共有、運用を検討したい。その中で、現行の情報技術で効率的に伝達できる情報項目を選別し、適切な伝達手順と仕組みを検討し、地域の看護職を対象に教育を通して実装に向け検討する。
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