研究実績の概要 |
1)運動療法によるin vivoでの筋萎縮保護効果について、動物用トレッドミルを用いた運動療法を施行した担癌マウスに対して前脛骨筋のtotal RNAを抽出し、cDNA合成の後、定量PCR(qPCR)を行い、mRNA発現量を解析した。トレッドミルによる運動を4週間行った後にサンプルを回収した。骨格筋特異的なユビキチンリガーゼであるMuRF1, Atrogin-1は対象群と比較して運動介入群で有意に発現が上昇している様子は確認できなかったが、myostatinの発現量を比較したところ、対象群と比較して運動介入群では有意に発現量の上昇がみられた。また、アディポネクチンも同様に対象群と比較して運動介入群において発現量が上昇する傾向が確認できた。 2)ヒット化合物Aによるin vivoでの筋萎縮保護効果についてはヒット化合物A投与のみでは対象群と有意な差はみられなかったが、有酸素運動を行った群や有酸素運動+ヒット化合物Aを投与した群で筋重量の上昇傾向がみられた。また、遺伝子の発現ではヒット化合物Aを投与した群では対照群と比較しAtrogin-1やMyostatinの発現量において有意な変化は見られなかったが、有酸素運動+ヒット化合物A投与した群ではadiponectinの有意な発現上昇がみられた。 3)終末期がん患者を対象とした運動療法介入効果の検討では在宅緩和ケアリハビリテーションを受けた終末期がん患者 35 名を対象とし、身体的QOLとADLについて経時的に調査を行った。運動療法開始時から4週間後までのPFスコア(QLQ-C15の身体機能スコア)は開始時に比べ4週間後に有意に改善しており,特に開始2週後においてPFスコアは最も高い傾向を示した。また、PFスコア維持向上群では運動療法開始時と比較して4週間後に運動機能のFIMスコアが有意に向上していた。
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