研究課題/領域番号 |
18H03130
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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研究分担者 |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 健康科学部, 准教授 (50333183)
石原 昭彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超音波 / 糖尿病 / 単球 / マクロファージ / 骨格筋 / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
糖尿病の早期から高頻度に認められる特有な合併症である.慢性の微小炎症が関与すると考えられているが,毛細血管を主座とする慢性炎症は不明な点も多く,予防手段等が確立していない.そこで,毛細血管の慢性炎症に関連するマクロファージの関与を解明し,糖尿病性微小血管症をターゲットにした物理療法の効果を検証する.本研究では抗炎症効果が期待できる超音波の微細機械刺激による効果を検証する計画である.先ず,超音波照射のターゲットとなる骨格筋に対しての効果を検証するために培養筋細胞への超音波照射について検証した.特に超音波照射による筋細胞から放出される細胞外小胞を超遠心法で抽出し,CD63陽性の小胞が増加することを確認できた.細胞外小胞の効果を検証するために培養マクロファージによる検証を進めていく計画である.一方,糖尿病モデル動物に対して下肢骨格筋への超音波照射を実施するための予備的な検討を重ねて,単球やマクロファージを評価するための適切な表面抗体の組み合わせや測定法について検証をした.概ね必要な表面抗体などについて見通しが立ってきたので,糖尿病モデル動物での検証を実施していく計画である.また,糖尿病モデル動物の骨格筋における微小血管構造を三次元構造解析を実施して,毛細血管径の減少や毛細血管容積の低下が明らかとなったことで糖尿病性微小血管障害を明確に捉えることができた.このことで,超音波照射による効果を検証していく基盤が確立された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
血中や骨格筋からマクロファージの検出を行ったところ,当初予定していた抗体群だけではマクロファージの極性を判断できないことが判明した.研究遂行上,マクロファージ極性の判断のためには適切な抗体群の組合せを特定することが不可欠であることから,マクロファージ極性抗体群の検討に時間を要した.また,当初計画をしていなかったが,培養細胞による実験をモデルを単純化するために実施し,そのセットアップにも時間を要した.
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞による基礎的な実験に成功し,超音波照射で放出される細胞外小胞がマクロファージの活性状態に影響を与える成果が観察された.このように超音波照射が組織(骨格筋)に対して生物的な変化を与えていることが実証できたことから,生体内での効果についての検証が期待でき,今後は生体内での検証に軸を変えて検証を進める.
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