研究課題
糖尿病性微小血管症における慢性炎症に関連するマクロファージの関与を解明し、超音波照射によるマクロファージ制御について検証をすることを目的とした。培養骨格筋細胞を分化させた筋管細胞に対し、超音波照射を実施し、回収した上清から細胞外小胞を抽出した。ナノトラッキング解析により超音波照射による細胞外小胞の放出量は非照射に比較して2.6倍に増加することやCD63陽性の細胞外小胞であることを確認した。次に骨髄由来マクロファージを炎症誘導し、細胞外小胞を添加した結果、TNF-α、IL-6等の炎症反応を減弱させた。また、超音波照射はIRG1発現を増加させ、メタボロ解析によりイタコン酸の増加が確認された。さらにイタコン酸はNRF2発現を抑制し、IL-1β,IL-6, TNF-αの発現を抑制した。RNA-seq解析により、EV処理後のマクロファージではPI3K-Akt経路およびJAK-STAT経路の活性化が認められた。筋管EVに最も多く含まれるmiRNAはmiR-206-3pで、次いでmiR-378a-3p、miR-30d-5p、miR-21a-5pと続いた。これらの結果から超音波は、IRG1発現のアップレギュレーションを介してイタコン酸の産生を増加させると考えられ、マクロファージにおいて抗炎症効果を発揮した。この抗炎症作用には、PI3K-Akt経路とJAK-STAT経路が関与していることが示唆された。また、細胞外小胞内のmiRNAプロファイルからmiR-206-3p、miR-378a-3p、miR-30d-5p、miR-21a-5pがEVの抗炎症作用に関与している可能性が示唆された。本研究では、筋管由来EVがIRG1-イタコン酸経路を活性化することによりマクロファージの炎症反応を抑制することを明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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