研究課題/領域番号 |
18H03132
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
菅田 陽怜 大分大学, 福祉健康科学部, 助教 (30721500)
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研究分担者 |
原 正之 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00596497)
阿南 雅也 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (10517080)
松下 光次郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30531793)
藤木 稔 大分大学, 医学部, 教授 (90231563)
上田 徹 大分大学, 福祉健康科学部, 特任教授 (90315333)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経オシレーション / 運動学習 / 経頭蓋交流電気刺激 |
研究実績の概要 |
前年度の皮質脳波を用いた研究において、一次運動野周辺のalpha-betaおよびhigh gamma帯域の神経オシレーションが運動学習に寄与する可能性を示した。そこで本年度は、前年度の研究結果を参考に、運動学習課題施行前の一次運動野に対する10Hz、20Hzおよび70HzでのtACSが視覚運動学習課題に及ぼす影響について検討した。 対象は18歳以上の右利き健常被験者42名とした。視覚運動学習課題には、ディスプレイ上のポインターをレバー式コントローラーでターゲットに到達させる課題を用いた。Baseline Task (BT)ではコントローラーとポインターとの間で操作誤差なし課題を40block実施し、Training Task (TT)では±30°の操作誤差あり課題を40block実施した。各blockにおける平均誤差修正角度を運動学習の指標と定義した (BT1-40,TT1-40)。tACSはBTとTTの間で実施した。刺激部位は左一次運動野直上の頭皮とし、リファレンス電極は右眼窩部とした。刺激パターンは10Hz-tACS(10Hz群;11名)、20Hz-tACS(20Hz群;11名)、70Hz-tACS(70Hz群;9名)およびSham刺激 (sham群; 11名)とし、1mAの刺激強度で10分間実施した。 反復測定分散分析の結果、BT-40 - TT1間及で有意な主効果と交互作用を認めた。事後検定の結果、TT1でsham群に比較して70Hz群で誤差角度が有意差に小さいことを示した。 本研究の結果、課題施行前の70Hz-tACSによって初期誤差修正が促進された。我々の先行研究において、課題前の70Hz刺激がボタン押しの運動学習能力を促進することを示し、その神経生理学的メカニズムとして興奮性シナプスと抑制性シナプスの活動バランスの可塑的変化が影響する可能性を報告した。本研究の結果から、より高次の運動学習である視覚運動学習課題においても、70Hz-tACSによる興奮性シナプスと抑制性シナプスの活動バランスの可塑的変化が生じ、運動学習の習熟度に影響を与えるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標とする人数分のデータ収集が完了し、データ解析並びに論文作成へと移行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
tACSが運動学習能力に与える影響を明らかにするために、tACS前後の運動学習データの解析を行う。また、運動学習依存的に変化すると考えられる神経生理学的なデータ(脳波、筋電図)の解析も同時に進める。さらに、得られた結果は学会および論文にて公表する。
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