研究課題/領域番号 |
18H03133
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
鈴木 誠 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (80554302)
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研究分担者 |
平田 晃正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335374)
田山 淳 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (10468324)
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10545867)
鈴木 貴子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (60549343)
小川 豊太 (濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 行動学習 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究では,経頭蓋交流電気刺激(tACS)が神経活動の振動同期と抑制機能に及ぼす影響を検証することを目的とした. まずMRIから構築された頭部モデルを用いて,7種類のtACS電極配置に対する中心前回の電界をシミュレーションにより推定した.次に16名の健常成人に対し,シミュレーションによって特定された高強度かつ低変動の電界が誘導されうるtACSの電極配置,0.3 mAの電流,10 Hzあるいは20 Hzの周波数を用いて20分間刺激した.疑似刺激では,同様の電極配置で刺激開始のクリック音のみを被験者に聞かせた.tACSによる神経活動の振動同期と抑制機能の変化については,アルファおよびベータ帯域のパワースペクトラムとshort-interval intra-cortical inhibition(SICI)をtACS前後で比較した. シミュレーションの結果,tACS電極をCz-CP1に配置した場合に中心前回において高強度かつ低変動の電界が推定された.そこで,Cz-CP1の電極配置を用いて健常成人に対してtACSを行い,神経活動の振動同期と抑制機能の変化を検証した.その結果,10 Hzあるいは20 HzのtACS後に,低アルファ(7-9 Hz)あるいは低ベータ(17-19 Hz)帯域のパワースペクトラムが,高アルファ(11-13 Hz)あるいは高ベータ(21-23 Hz)帯域よりも有意に高くなった.しかし,SICIについては,tACS(10 Hz/20 Hz)および疑似刺激間で有意な差を認めなかった. 2020年度の実験結果から,10 Hzあるいは20 HzのtACSは低アルファおよび低ベータ帯域の振動同期を増加させ,高アルファおよび高ベータ帯域の振動同期を減少させることが示唆された.また相反的な振動同期の変化に関連して,神経活動の抑制機能は変化しないことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴う実験活動の自粛要請により,2020年度の予定であったtACSを活用した行動介入プログラムを構築することができなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究では,今年度までに行ったtACSおよび運動解析の手法を応用し,様々な施設の作業療法士や理学療法士が個別的なサービスとして活用可能な行動介入プログラムを作成する.また,行動介入プログラムによる臨床効果と予後については,健常者を対象にした実験を継続し,tACSの臨床的な有用性を検討する.
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