研究課題/領域番号 |
18H03136
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
道免 和久 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50207685)
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研究分担者 |
小山 哲男 兵庫医科大学, 医学部, 特別招聘教授 (40538237)
内山 侑紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50725992)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ニューロリハビリテーション / 上肢機能障害 / CI療法 / ロボットリハビリテーション / 非侵襲的脳刺激法 |
研究実績の概要 |
今年度も昨年度に引き続き、対象患者を当院に通院中の患者より抽出し、重度上肢麻痺の脳卒中患者に対して上肢リハビリテーションロボット(ReoGo-J)を併用した修正版CI療法(constraint-induced movement therapy)を実施した。 CI療法をはじめとした課題指向型訓練の難易度調整による運動学習効果の機序の解明について、脳機能の観点から解明するため、CI療法前後の近赤外線分光法を用いた脳機能測定も引き続き実施を予定していたが、新型コロナウイルス感染や機器整備体制の影響を受け、検査実施継続が困難であった。そこで、経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation: tDCS)および末梢神経筋電気刺激(peripheral neuromuscular electrical stimulation: PNMES)を用いて効率的に脳可塑性を誘導できるシステムの開発を行うことに方向性を切り替えた。 CI療法による麻痺側上肢機能の長期的な改善効果の機序の解明に関しては、2019年度からやや研究計画を変更し、簡便かつ実用的に上肢の使用状況をモニターできる簡便な方法として、超小型加速度センサー(アクチグラフ社製GT3X-BTシステム)を導入した。これによりCI療法の前後7日以内の通常の活動日の上肢活動量を計測し、麻痺側上肢および非麻痺則上肢の使用状況のモニターを実施した。超小型加速度センサーを用いた上肢活動量に関しては従来の活動量の主観的指標 (motor activity log)との相関傾向を認め、上肢活動量の客観的指標としての有効性が示されており、今後も継続予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CI療法(constraint-induced movement therapy)をはじめとした課題指向型訓練の難易度調整による運動学習効果の機序の解明に関して、近赤外光脳機能イメージング装置(島津製作所製SMARTNIRS)により解析することを当初計画していたが、機器整備体制の予算上の問題と新型コロナウイルスの影響を受け、検査実施継続が困難であったため、研究計画の変更を余儀なくされている。また、同様に新型コロナウイルスの影響を受け対象患者のリクルートも緊急事態宣言等の影響を受け、当初の予定より進んでいない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方向性として、経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation: tDCS)と末梢神経筋電気刺激(peripheral neuromuscular electrical stimulation: PNMES)を併用し、さらに上肢リハビリテーション支援ロボ ット(ReoGo-J)を併用した複合的CI療法を行う。治療前後において、下記の2つの研究を並行して行う。 1)tDCS+PNMES+ReoGo-Jを併用した複合的CI療法の効果の解明 治療前の20分間tDCSを実施し、その後10分間のPNMESを実施した後にReoGo-Jによるロボット訓練およびCI療法を1.5時間実施し、計30日間実施する。tDCSは損傷側の一次運動野に陽極電極を、非損傷側の一次運動野に陰極電極を設置し、刺激強度は1mAとする。PNMESは総指伸筋を対象筋とし、刺激強度は筋脱分極閾値以下(3-5mA程度:症例にあわせてパラメータを確定)、周波数は20Hz、パルス幅は300μsecにて実施する。 2)Transfer packageの長期効果の機序の解明 Transfer packageによる長期効果の機序を麻痺側上肢の使用頻度の観点から解明するため、従来より簡便かつ実用的に身体の活動量をモニターできる超小型加速度センサーを使用して麻痺側上肢の活動量を長期的かつ定量的に評価する。超小型加速度センサーは麻痺側上肢、非麻痺側上肢、体幹に装着し、各々の活動量を計測、分析を行うことで、代償運動も含めた実生活での身体の活動量をモニターする。 以上の研究内容は新型コロナウイルスの影響を受けないように感染対策を十分実施しながら遂行予定である。
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