研究課題/領域番号 |
18H03138
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
赤居 正美 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, 研究所顧問 (80143452)
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研究分担者 |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院 障害者健康増進・運動医科学支援センター(研究所併任), 障害者健康増進・運動医科学支援センター長 (00392192)
田島 世貴 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院 第三診療部(研究所併任), 医長 (30420722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Heart Rate Variability / 慢性炎症 / 運動介入 |
研究実績の概要 |
動物実験においては前年度に確立したラットモデルにおける血圧センサーの血管内留置による計測を継続し、この実験系に活動性を高める介入としてトレッドミル歩行を定期的に負荷する実験を行った。通常のラットでは介入の前後で血圧変動が見られなかったものの、自然発症型の高血圧モデルラットにおいてはトレッドミル走行を定期的に実施することで平均血圧の低下を観察した。またこの変化を裏付けるものとして、尿中エピネフリン濃度も減少しており、定期的な運動により交感神経活動が抑制されたことを示唆するデータを得た。 一方、ヒト脊髄損傷者に対する検討では被検者に負担なく装着可能な心拍測定を検討した結果、皮膚への負荷が制限となり24時間の計測が安全であると判断し、複数の頚髄損傷者において心拍計と加速度センサーによる計測を実施した。その結果、ほとんどの頚髄損傷者の日中活動は極めて限定的で、自動車の乗り降りや入浴動作以外に心拍上昇を伴うような数分間持続する活動は含まれていないことが明らかとなった。今後の運動介入の予備検討として、自宅で実施可能な車いすによる運動メニューを考案し、当事者において実施可能なことを確認した。 ヒト・動物モデルともに運動と自律神経機能の関連を評価する基礎データを得ることができたことから、今後動物モデルにおいては運動と自律神経機能調節をつなぐメカニズムの検討を、ヒト調査においては運動による介入効果の検証を行う方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルと脊髄損傷者における計測の実験を並行して行っており、いずれの実験系についても信頼性のたるデータが得られる環境を確立できている。また本研究がターゲットとする運動と自律神経の関係性を検証するための基礎データも得られていることから、研究計画に沿って順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに確立した動物モデルにおける循環動態評価系を用いた研究とヒト脊髄損傷者の自律神経評価系の双方において介入実験を試みる。動物実験においては、活動性と心拍数変動(HRV)との関連を明らかにするとともに、介入として活動を模した周期的な振動を加えることで自律神経の活動性に変化が生じるかを検証する。 一方、ヒト脊髄損傷者においては活動性と慢性炎症、心拍数の関係を横断研究にて明らかにする。この横断研究の結果をベースラインとして、ヒト症例において加速度計にて計測可能な周期的な運動の実践を介入として、その前後における自律神経機能の変化および慢性炎症の変化を縦断的に評価する。
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