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2020 年度 実績報告書

運動トレーニングによる代謝恒常性に及ぼす視床下部の強化基盤

研究課題

研究課題/領域番号 18H03152
研究機関徳島大学

研究代表者

志内 哲也  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (70372729)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード運動習慣 / 視床下部 / サイトカイン / エネルギー代謝
研究実績の概要

視床下部は自律神経系や内分泌系を司り、生体内のエネルギーバランスを一定に保つためのセットポイントを規定する。視床下部のエネルギー代謝調節システムは、神経細胞レベルでの不可逆的な変化を伴う可能性がある。視床下部の神経幹細胞(hyNSC)は、神経新生に寄与する。それゆえ、視床下部ニューロンに入れ替わりは、生体内のエネルギーバランスのセットポイントに大きく影響する。そこで本研究では、運動によるhyNSCの増殖が視床下部によるエネルギー代謝調節システムを是正すると仮定し、そのメカニズムと生理学的意義の解明を目的とした。
今年度は、回転かごを用いた自発的な運動トレーニングを用いて、運動中および運動終了後のマウス内側視床下部(hNSC が存在する第三脳室と隣接する部分)を採取した。サンプルをホモジナイズした抽出液を用いてサイトカインアレイ解析を行い、運動により増減したサイトカインを網羅的に探索した。それらのアンタゴニストを脳内投与にすることで、hyNSCの増殖がどうなるか、現在解析中である。
別件であるが、運動トレーニングによる骨格筋の遺伝子発現の変化が、血中代謝産物レベルを変化させ、それらが脳へ直接的に影響を与えている可能性を見出した。この結果は、脳内サイトカインだけでなく、トレーニング筋からの脳への情報伝達である可能性を示唆しており、今後は脳内サイトカインだけでなく、末梢からの影響も視野に入れて解析を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度における研究協力者の体調不良による研究開始遅れがそのままスライドしていたが、今年度から研究協力者をコンスタントに雇用できるようになったためスムーズに研究が進むようになった。
本年度は、回転かごを用いた自発的な運動トレーニングを用いて、運動中および運動終了後のマウス内側視床下部(hNSC が存在する第三脳室と隣接する部分)を採取した。サンプルをホモジナイズした抽出液を用いてサイトカインアレイ解析を行い、運動により増減したサイトカインを網羅的に探索した。それらのアンタゴニストを脳内投与にすることで、hyNSCの増殖がどうなるか、現在解析中である。
別件であるが、運動トレーニングによる骨格筋の遺伝子発現の変化が、血中代謝産物レベルを変化させ、それらが脳へ直接的に影響を与えている可能性を見出した。この結果は、脳内サイトカインだけでなく、トレーニング筋からの脳への情報伝達である可能性を示唆しており、今後は脳内サイトカインだけでなく、末梢からの影響も視野に入れて解析を行う。

今後の研究の推進方策

本年度は「運動によりhyNSCを増殖させるサイトカイン」の阻害薬をマウス脳室内へ投与する。運動トレーニング終了後に、酸素消費量やグルコース負荷テストで全身のエネルギー代謝や耐糖能を調べる。また、インスリンを静脈内に投与し、非放射性ラベル2デオキシグルコース法を用いた骨格筋における糖取り込みの測定と、ウエスタンブロット法を用いた骨格筋におけるインスリンシグナル(Aktのリン酸化やGLUT4量)の測定を行うことで、インスリン感受性を評価する。
一方、視床下部を介する中枢性の代謝調節を評価する指標として、脂肪細胞から分泌されるレプチンの感受性が使われる。レプチンは視床下部に作用し、STAT3をリン酸化するとともに、骨格筋の糖取り込みを促進する。そこで、レプチン感受性を調べるためレプチンをマウスの脳室内に投与し、内側視床下部におけるSTAT3のリン酸化を測定する。また、骨格筋における糖取り込みの測定を行う。これにより、運動トレーニングによるエネルギー代謝亢進作用に対する増殖・分化したhyNSCの重要性が明らかになる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Intracranial mast cells contribute to the control of social behavior in male mice2021

    • 著者名/発表者名
      Tanioka Daisuke、Chikahisa Sachiko、Shimizu Noriyuki、Shiuchi Tetsuya、Sakai Noriaki、Nishino Seiji、Sei Hiroyoshi
    • 雑誌名

      Behavioural Brain Research

      巻: 403 ページ: 113143~113143

    • DOI

      10.1016/j.bbr.2021.113143

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Deletion of H-ferritin in macrophages alleviates obesity and diabetes induced by high-fat diet in mice2020

    • 著者名/発表者名
      Ikeda Yasumasa、Watanabe Hiroaki、Shiuchi Tetsuya、Hamano Hirofumi、Horinouchi Yuya、Imanishi Masaki、Goda Mitsuhiro、Zamami Yoshito、Takechi Kenshi、Izawa-Ishizawa Yuki、Miyamoto Licht、Ishizawa Keisuke、Aihara Ken-ichi、Tsuchiya Koichiro、Tamaki Toshiaki
    • 雑誌名

      Diabetologia

      巻: 63 ページ: 1588~1602

    • DOI

      10.1007/s00125-020-05153-0

    • 査読あり
  • [学会発表] 摂食リズムによる視床下部を介した 臓器連関作用2020

    • 著者名/発表者名
      志内哲也
    • 学会等名
      第7回 日本時間栄養学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 摂食リズムによる末梢―中枢連関作用と代謝生理学的適応2020

    • 著者名/発表者名
      志内哲也
    • 学会等名
      第27回 日本時間生物学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 身体不活動にともなう骨格筋代謝の変化が高次脳機能に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      志内哲也
    • 学会等名
      生理研研究会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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