これまでの運動トレーニングによる代謝亢進効果は、骨格筋を中心とした直接の代謝臓器に焦点が当てられていたが、本研究では、運動トレーニングが視床下部ニューロンの可塑性や増殖を介して視床下部によるエネルギー代謝調節システムを増強するという、新たなルートの可能性を提案した。視床下部は末梢組織と異なり、代謝が制御される部位ではなく、代謝を制御する部位であるため、視床下部の変化は個体全体にわたって影響を与えやすく、長期的なエネルギー代謝調節の強化基盤となると考えると、運動トレーニングの新たな効果指標として視床下部に着目することに、大きな意義が見出せたと言える。
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