研究課題/領域番号 |
18H03155
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
福 典之 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (40392526)
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研究分担者 |
宮地 元彦 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部, 部長 (60229870)
膳法 浩史 東京聖栄大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90749285)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 疲労骨折 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
スポーツ傷害は、過度なトレーニングや低栄養などの環境要因に加えて、両親から受け継いだ体質すなわち遺伝要因の影響も受ける。スポーツ傷害のリスクに対して、生まれながらにして持つ自分の体質、すなわち遺伝的特徴を知ることができれば、競技力の最大化やトレーニング効果の適正化(例えば、トレーニング後に身体のどの部位を重点的にケアすればよいか)を図ることができる。そこで本研究課題では、全ゲノムを対象とした網羅的遺伝子多型解析(ゲノムワイド関連解析)により、スポーツ傷害の代表例である疲労骨折・筋損傷・靱帯損傷に関連する遺伝要因の同定を試みている。 そこで、持久系のアスリートで頻度が高い、疲労骨折に着目し、疲労骨折に関連する遺伝子多型を同定する目的で、ゲノムワイド関連解析を実施した。遺伝子多型の影響度から推定される疲労骨折の遺伝率は、24.8%であることが示された。P<5×10-5で疲労骨折と関連がみられた遺伝子多型は、34領域・292多型であった。最も強く関連性が認められた遺伝子多型(P<5.3×10-8)は、13番染色体上のnon-coding領域であった。また、肥満関連遺伝子FTO rs1558902 T/A多型と疲労骨折の関連について候補遺伝子アプローチを用いて検討した。その結果、女性において、エネルギー摂取が高いAA型を有する選手は、TA型+TT型を有する選手に比べて疲労骨折の受傷率が高い傾向であった。また、この傾向は、月経周期が正常の女性で顕著であった。これらの成果は、遺伝要因を加味した総合的観点からスポーツ傷害予防法に貢献できるかも知れない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020から、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、被検者のリクルートが思うように進まず、研究の進行に重大な影響が出た。しかしながら、既存資料を用いて、疲労骨折の受傷に関わるいくつかの遺伝子多型を同定した。以上のように、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
被検者のリクルートを引き続き進め、靱帯損傷や肉離れに関してもゲノムワイド関連解析や候補遺伝子アプローチを実施する予定である。また、ゲノムワイド関連解析からスポーツ傷害に関連しうる多型の再現性試験も実施するため、被検者のリクルートや新たな共同研究先との論議を進めていく予定である。
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