本研究は、アジアにおこなわれる民族スポーツをとりあげ、その文化資源(とりわけ観光資源)としての利用可能性について論じることを目的とする。研究活動の全体は3年度に亘り、各年度は次のような目標をもつ。(初年度)民族スポーツのデータベース作成。(2年度)初年度成果の事例の中から、政府あるいは民間団体が文化資源として現に展開する事例、また文化資源としての展開を企画・検討する事例を選び、その内容を当該地に共有され自覚されるイーミック次元情報として調査する。(3年度)2年度に抽出した事例について、研究者が、当該事例の背景歴史文化を独自に解釈し直して、当該者が有するイーミックな情報とは異なる新しいエティク次元の情報を提供する。2年度に当たる本2019年度は、研究代表者と9人の研究協力者があらかじめ定めた担当国・地域においてフィールドワークをおこない(研究協力者は日本、韓国、台湾、タイ、スリランカ・インド、中国。代表者はアジア全域)、それぞれの民族スポーツ事例のイーミックな文化性情報の調査に当たった。また、中国のウイグル族については合同調査をおこなった。そして、年度末の2020年1月に東京に全員が集会し、フィールドワークの成果を披露しあい、問題点と今後の課題について全体検討会をおこなった。
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