研究課題
健康長寿を目指して運動が推奨されている。特に、運動器である骨格筋の機能の維持向上が重要な課題である。しかし、加齢に伴う骨格筋量と機能の低下(サルコペニア)に対する適切な運動処方は確立しておらず、早急に解決が望まれている。サルコペニアは、日常生活活動に大きな変化がなくとも発症し、骨格筋機能と量は低下することが知られている。したがって、運動刺激に対する感受性が低下することが、加齢に伴う骨格筋機能や量の低下を引き起こすことを強く示唆する。一方、骨格筋は機械的刺激に応答して適応を示すものの、骨格筋が機械的刺激を受容する仕組みは未だに明らかにされていない。そこで本研究では、骨格筋細胞における機械的刺激受容チャネルとしてのピエゾチャネルに着目し、運動刺激に対する骨格筋の適応における機械的刺激受容機構を解明し、ピエゾチャネル活性化による運動効果獲得増強法およびサルコペニア予防と改善策を確立ための知的基盤を形成することを目的としている。本研究は4年計画で実施され、2019年度はその2年目に当たる。2019年度は、実験動物(マウス)から単離した筋衛星細胞を用いて、機械的刺激(ストレッチ)ならびに作用機序(作用部位)の異なる2種類のピエゾチャネルアゴニストによるピエゾチャネル修飾に対する筋細胞の応答を検討した。その結果、機械的刺激により細胞内Ca2+濃度の増加が確認され、アゴニストの作用機序の違いによらず細胞内Ca2+濃度増加は促進した。一方で、アゴニストの作用機序の違いにより筋管形成作用は異なり、筋管の直径あるいは長さをそれぞれ増大させる効果を持つことをが確認された。したがって、ピエゾチャネルの刺激部位により作動する細胞内シグナルが異なることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
マウスから単離した初代培養細胞(筋衛星細胞)を用いたピエゾチャネルチャネル機能解析は、当初計画の通り順調に進んでいる。現在、チャネル活性化剤の種類ならびに濃度および作用時間の違いによる適応変化の追究も開始しており、おおむね順調に進展していると考えている。
培養細胞を用いた機能解析を進め、骨格筋細胞における機械的刺激受容機構としてのピエゾチャネルチャネルの役割を解明する。さらに、骨格筋組織レベルの機能解析を行うための準備を進める計画である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件)
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