研究課題/領域番号 |
18H03161
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川井 圭司 同志社大学, 政策学部, 教授 (50310701)
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研究分担者 |
内海 和雄 一橋大学, その他の研究科, 名誉教授 (00092619)
棚村 政行 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40171821)
齋藤 健司 筑波大学, 体育系, 教授 (80265941)
南部 さおり 日本体育大学, スポーツ文化学部, 准教授 (10404998)
向山 昌利 流通経済大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (10733785)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スポーツ事故 / 事故補償 / 脳震盪 / スポーツ事故の法的責任 / スポーツ事故の防止 / スポーツ保険 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
国内の研究では、2か月に1度、研究会を開催し、スポーツ事故当事者や競技団体へのヒアリングを中心とする実態調査とこれに基づく研究討議を研究分担者を交えて実施した。まず、5月7日にラグビー事故をめぐる補償のあり方について関西ラグビー協会会長との研究討議を行い、6月16日にハングライダー大会中の墜落事故被災者の方へのヒアリングと危険スポーツの実態と保険制度のあり方に関する考察、9月8日に、高校器械体操の事故被災者の方から、事故の状況とその後の補償の実態についてのヒアリングを実施した。10月7日には救急救命士をお招きし、スポーツ事故への初動および処置に関する国際比較の観点から情報提供を受けた。11月17日に、高校部活動中(公式テニス)に熱中症で遷延性意識障害を負われたご家族にヒアリングを行い、事故被災者の親の立場から事故の経緯、事故後の生活や学校側との訴訟について詳しい情報を得た。2019年1月12日に民間の水泳教室の飛び込み事故被災者からは事故の経緯、事故後の生活や訴訟の様子などについてお話いただいた。訴訟に対する事故被災者本人と家族には、考え方や望むことに違いがあると指摘された。3月2日に、民間の器械体操教室の事故被災者であるゲストスピーカーと母親の方からは事故の経緯、事故後の対応、在宅生活への移行や復学など事故後の社会参加に関する情報提供を受けた。 国外の研究については、研究代表者がアメリカを中心に実地調査を行い、研究分担者がイギリス、フランス、台湾、韓国、中国についての基礎研究を実施した。なお、アメリカでは、8月の1か月間、マサチューセッツ大学において共同研究を実施し、大学スポーツにおける労災訴訟、その後の保険制度の整備について考察した。以上のリサーチにより、日米のスポーツ事故へのアプローチの基本的な違いが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2か月に1度、継続的に研究会を実施し、日本におけるスポーツ事故とその後の補償についての実態が明らかになってきた。他方、各ケースでそれぞれ背景が異なるため、包括的な調査結果を得るには至らなかった。したがって、今後もヒアリングを通じて、課題を浮き彫りにし、日本におけるスポーツ事故補償の現状についてより的確に分析していく必要がある。また、海外リサーチを実施し、同様の問題におけるアプローチの違いを把握したうえで、その違の背景を考察する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
ラグビー事故研究会の開催を継続し、スポーツ事故被災者へのヒアリング調査、実務家、研究者を含めた議論を深めていく。その際、日本での事故と同様の事故が発生した場合の海外でのアプローチを明らかにしていく。具体的には、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、韓国、台湾でのヒアリングを実施する。
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