研究実績の概要 |
老化とともに生体内の骨格筋組織の量と質が減少することはサルコペニアと定義され、近年その診断ガイドラインの改訂版が各国で作られ始めている。ヨーロッパにおける最新の診断ガイドライン(EWGSOP2)では、研究代表者らの長年の研究成果が実り、研究代表者らが開発し妥当性を検討した部位別多周波生体電気インピーダンス法(MF-BIA)が取り入れられた。なお、研究代表者らの開発したこの推定式は、ヨーロッパ人の高度肥満者においても高い妥当性を示すことが追試されている。また、出願していた特許(行動体力評価装置、行動体力評価方法及びプログラム)についても、査定され特許登録された(第6709462号)。昨年度構築した1884名のMF-BIAデータベースを用いて、サルコペニア診断基準の妥当性を調べた論文が刊行された(Yamada et al. JCSM 2021)。部位別MF-BIAをもちいて、大腿部の筋体積を推定する式を作成し、論文にて公開した(Taniguchi, Yamada et al. J Physiol Anthoropol 2022)。さらに、国際共同研究により、二重X線エネルギー吸収法(DXA)とMF-BIAとの組み合わせによる精度の高いサルコペニア評価法を開発した(Rush et al. 2022)。また、筋力トレーニングによる筋量と筋質の変化に関するランダム化比較対照試験を行い、筋力トレーニングが筋質を向上させ、サルコペニアを予防することが明らかになった(Otsuka, Yamada et al. JCSM 2022)。このように、最終年度に非常に多くの成果を得ることが出来た。
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