生活習慣病等の予防効果がある栄養代謝物は数多く報告されているが、未だその多くの分子メカニズムは解明されていない。独自のトランスポーター(輸送体)の研究基盤を用いて、これまでに栄養代謝物の分子標的を同定してきた。これにより、トランスポーターが栄養代謝物の分子標的として有望であることがわかってきた。そこで本研究課題では、分子標的が不明な栄養代謝物をオーファン栄養代謝物と定義し、トランスポーターからその新たな分子標的を同定することを目的とする。本研究成果により革新的な生活習慣病等の予防基盤の構築が期待できる。 昨年度は独自のトランスポーターの評価系を用いて、オーファン栄養代謝物の分子標的を同定し、そのオーファン栄養代謝物の構造活性相関と、その阻害様式を明らかにした。本年度も引き続いて、複数の疾患モデル動物を用いて、in vivoでもin vitroと同様の阻害メカニズムにより、生活習慣病の改善効果があることを明らかにした。この薬効は既存医薬品よりも強力かつ副作用が小さいことを明らかにした。また、この作用機序の新しいシグナルカスケードを同定し、投与化合物を組み合わせ、効率的にこのシグナルカスケードを抑えることで、治療効果が増大することを明らかにした。以上より、革新的な生活習慣病等の予防基盤を構築できたと結論した。
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