研究課題
動脈硬化易発症モデルマウスであるApoE欠損(「ApoE-KO」)マウスと、「筋PGC-1α」マウスを交配させた「ApoE-KO/PGC-1α」マウスを作出し、その動脈硬化巣面積を測定した。「ApoE-KO/PGC-1α」マウスの動脈硬化巣面積が「ApoE-KO」マウスと比較して44%減少しており、骨格筋でのPGC-1α発現増加が動脈硬化進展を抑制することを明らかにした。その抑制機序を調べるために、動脈遺伝子発現量を調べたところ、「ApoE-KO/PGC-1α」マウスでは、動脈硬化の初期病変の形成に関与するVascular cell adhesion molecule-1 (VCAM-1)とMonocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1) の遺伝子発現量が「ApoE-KO」マウスのおよそ半分に低下し、動脈硬化巣中のVCAM-1とMCP-1のタンパク質発現量も有意に低下していた。一方で、動脈硬化の主因とされている血中脂質プロファイルには変化がなかった。また、血管内皮細胞 (HUVEC)にIrisin、BAIBAを添加したところ、Tumor necrosis factor-α (TNF-α) 刺激によるVCAM-1遺伝子とタンパク質発現量の増加が有意に抑制された。以上の結果から、持久運動トレーニングが動脈硬化を抑制する理由として、骨格筋PGC-1αの発現増加が関与していることが示唆された。さらにその機序の一端として、PGC-1α依存的なマイオカインが関与する可能性も示唆された。なお、その抑制機序には血中脂質プロファイルの変化は関与していなかった。
2: おおむね順調に進展している
動脈硬化易発症モデルマウスであるApoE欠損(「ApoE-KO」)マウスと、「筋PGC-1α」マウスを交配させた「ApoE-KO/PGC-1α」マウスを作出し、骨格筋の性状変化が動脈硬化を抑制することを初めて明らかにした。
マイオカイン候補因子の動脈硬化抑制作用を検証し、その機序を明らかにする。また、これまでに知られていないマイオカイン候補因子の探索とその効果についての検証を行う。
Young Investigator Aword受賞;Shimba, Y.: Skeletal Muscle-specific PGC-1α Overexpression Prevents Atherosclerosis in Apolipoprotein E-Knockout Mice. 18th International Symposium on Atherosclerosis
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