研究課題/領域番号 |
18H03187
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
絹川 真太郎 北海道大学, 医学研究院, 講師 (60399871)
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研究分担者 |
福島 新 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (40706553)
横田 卓 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (90374321)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳由来神経栄養因子 / マイオカイン / 骨格筋 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
C2C12骨格筋培養細胞のBDNFノックダウンを行い、抗アセチル化リジン抗体を用いて、BDNFがミトコンドリアタンパクのアセチル化と関わっているかどうかを検証した。質量分析を用いた解析により、複数のタンパクアセチル化と関わっていることが明らかとなった。特に、ミトコンドリア脂肪酸酸化と関連するタンパクが同定された。実際に、C2C12培養細胞に対するBDNF刺激やその受容体であるTrkB受容体刺激によって、ミトコンドリアへの脂肪酸取り込み関連分子、脂肪酸β酸化酵素、それらの転写調節因子のタンパク発現レベルが変化した。 次に、骨格筋異常モデルマウスを用いて、BDNFの役割を検証した。心筋梗塞後心不全モデルマウスでは骨格筋BDNF発現が低下しており、ヒトリコンビナントBDNF投与によって骨格筋ミトコンドリア機能およびミトコンドリア量が改善し、低下した脂肪酸酸化が改善した。その結果として、運動能力が改善した。さらに、骨格筋BDNF発現がおおよそ2分の一程度に減少しているBDNFヘテロ欠損マウスを用いて、BDNFの役割を検証したところ、このマウスの骨格筋ではミトコンドリア機能や量が低下し、脂肪酸酸化が障害され、運動能力が低下していた。さらに、このマウスへのAMPK活性化薬の投与によって、運動能力が改善することを明らかにした。これらの研究結果はCirculation: Heart failureへ投稿し、revise中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で示した通り、当初予定していた、①ミトコンドリア内BDNFとタンパクアセチル化との関連、②タンパクアセチル化によるミトコンドリア機能制御、③骨格筋異常モデル動物に対するヒトリコンビナントBDNF効果の検証に関する実験はおおよそ仮説通りの結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り研究を進めていく予定である。高齢C57BL6/Jマウスに対するBDNF投与効果検証を行う。2020年4月1日より研究代表者は異動により、所属が変わるが、本研究の継続課題の推進に支障はない。
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