研究課題/領域番号 |
18H03194
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
下位 香代子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員教授 (10162728)
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研究分担者 |
小出 剛 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 准教授 (20221955)
榊原 啓之 宮崎大学, 農学部, 教授 (20403701)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ストレス / ライフステージ / 加齢 / 脳機能 / 食品成分 / 予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、自然な加齢に伴った各ライフステージの雌雄のマウスに、単独隔離などの社会的ストレスを負荷し、加齢に伴い脳機能に与える負の影響を時間軸で明らかにし、負の影響を防御して脳機能の低下を防ぐ食品成分を探索し検証することを目的とした。 今年度は、9週齢(若齢)、41週齢(中齢)、77週齢(高齢)のC57BL/6N雌マウスに社会的ストレスの要因となる単独隔離飼育を長期間行い、それぞれ42週齢、74週齢、87週齢まで飼育した。若齢マウスはコントロール群も単独隔離群も順調に体重が増加し両群で差は見られなかった。高齢マウスでは、両群とも体重増加はほとんど見られなかった。しかし、中齢マウスでは、49週頃からコントロール群に比べ、単独隔離群で著しい体重増加が見られた。中齢マウスの視床下部と海馬における遺伝子発現解析を行ったところ、視床下部ではCrh遺伝子、海馬では、炎症性サイトカインのIL-1β、TNFα遺伝子の発現が増加しており、脳内炎症が起きていることが示唆された。Bdnfおよびセロトニン受容体遺伝子にほとんど差は見られなかった。長期飼育の期間中、一部のマウスは、作業記憶の程度を評価した。1回目は、単独隔離を始めてから7日目、2回目は1か月後、3回目は2か月後に空間作業記憶試験を行った。コントロール群では、加齢とともに探索回数が減少したが、コントロール群と単独隔離群を比べると、中齢と高齢マウスにおいては単独隔離群のほうが、探索回数が有意に増加していた。短期記憶の程度を評価する自発的交替行動率は、コントロール群と単独隔離群を比べると単独隔離群のほうが、自発的交替行動率が高い傾向が見られた。また、加齢とともに記憶が低下する傾向が見られた。 現在、C57BL/6N雌のマウス、BALB/c雄マウスを長期飼育しており、加齢に伴う対面ストレスの影響を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和1年度は、9週齢(若齢)、41週齢(中齢)、77週齢(高齢)のC57BL/6N雌マウスに社会的ストレスの要因となる単独隔離飼育を長期間行い、加齢に伴うストレス応答と生体応答について検討した。自然な加齢に伴った各ライフステージの雌雄のマウスの匹数をそろえるのに時間がかかっているが、飼育は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
C57BL/6N雌のマウス、ストレス負荷がかかりやすいBALB/c雄マウスを長期飼育しており、加齢に伴う対面ストレスの影響を検討する予定である。また、中齢期のマウスが単独隔離により肥満になったことから、女性ホルモンが低下した更年期のモデルである卵巣摘出マウスを用いて単独隔離の影響についても検討する予定である。さらに抗ストレス食品成分を探索し、その影響について検討する予定である。
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