研究課題
肝臓及び骨格筋は、全身の糖脂質代謝を制御する主要なインスリン感受性臓器である。脂肪負荷後の脂肪筋と筋インスリン感受性の低下のし易さに個人差(筋肉の脂肪負荷感受性)があることを明らかとしたが、肝臓にも同様の感受性があり、それらの感受性が脂肪負荷後の全身の糖脂質代謝を規定する、という仮説を立て、本研究ではその仮説の立証を進めている。具体的には、20歳~29歳のBMI:18.5kg/m2以上25kg/m2未満の非肥満若年健常日本人男性を対象として高脂肪食負荷を行った。具体的には、同意が取得された被験者を登録し、被験者には6日間の標準食摂取とそれに引き続き6日間の高カロリー高脂肪食(HCHFD: 普通食にそのカロリーの50%に当たるクリーム化した脂肪(オフトクリーム)を上乗せ)を摂取させ、それぞれの食事開始後に来院させ、1H-MRS法による脂肪肝・脂肪筋の定量を行った。その後、ヒューマンカロリーメーターによる睡眠時RQの測定、食事負荷試験を施行した。また、骨格筋のバイオプシー後に安定同位体を用いた9時間の2ステップ高インスリン正常血糖クランプを施行し、肝臓・骨格筋のインスリン感受性とともに肝インスリンクリアランスを評価した。その結果、HCHFD後、体重は0.4 kg増加し、骨格筋細胞内脂質と肝内脂質それぞれ47%と200%増加した。 一方、肝臓と筋肉のインスリン感受性は、それぞれ8%と4%のわずかな減少を認めた。 その一方で、予期せぬことに、空腹時遊離脂肪酸は43%、総ケトン体レベルは53%それぞれ減少し、睡眠中のグルコース酸化は増加した。 このようにHCHFDは異所性脂肪の蓄積と軽度のインスリン感受性の低下をもたらすが、糖質利用はむしろ高まること、これらの変化には大きな個人差があることが明らかとなった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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