研究課題/領域番号 |
18H03197
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
有泉 俊一 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40277158)
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研究分担者 |
徳重 克年 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60188729)
山本 雅一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60220498)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
岡田 浩介 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80757526)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | NASH / 遺伝子改変マウス / 肝発癌 / 遺伝子ノックイン / 脂肪酸代謝 |
研究実績の概要 |
本年度はNASH/肝癌マウスモデル(筑波大にて開発)において,肝発癌に対するNrf2とp62の抑止的役割を解明することを目的に研究を実施した. 1. p62とNrf2遺伝子の組織細胞特異的ノックインマウスの作製:p62とNrf2遺伝子のイントロンに、LoxP配列で挟まれた転写終結シグナルおよびpolyA付加シグナル配列を挿入したノックインマウス(p62 KI/KI, Nrf2KI/KI)を作製し,このマウスとの交配により,Nrf2KI/KI/p62-/-マウスとp62KI/KI/Nrf2-/-マウスを得た.これらのマウスは,全身でp62とNrf2遺伝子が二重に欠損しており,NASHを自然発症する.次に,全身でのp62とNrf2遺伝子二重欠損下において,組織特異的にp62とNrf2の発現をノックインするために,Vill-Cre(腸管上皮),Albumin-Cre(肝細胞),Adipoq-Cre(脂肪細胞),Lyz2-Cre(Kupffer細胞)マウスとの交配を開始した.現在,マウスの交配掛け合わせと繁殖を実施している.マウスの数が揃った段階において,肝発癌促進のために高脂肪食投与を開始し,表現型の解析を予定している. 2. p62とNrf2の肝細胞とKupffer細胞における肝発癌シグナルへの関与:肝細胞(Hepa1-6),Kupffer細胞胞(RAW264.7)のp62とNrf2をCRISPR/Cas9 systemを用いてノックアウトし,p62とNrf2を欠失したHepa1-6細胞とRAW264.7細胞を得ることに成功した.今後p62とNrf2のノックアウトによる肝発癌シグナルの変化を解析する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に使用する組織細胞特異的p62とNrf2遺伝子ノックインマウスは,3段階にわたり遺伝子改変を行う必要があり(p62, Nrf2-KO,p62, Nrf2-KIとCreマウスの掛け合わせが必要であり,最終的な遺伝子型は,Nrf2KI/KI/p62-/-マウス,p62KI/KI/Nrf2-/-,cre/+となる),このマウスの作製には長時間を要する.研究室では,Nrf2KI/KI/p62-/-マウスとp62KI/KI/Nrf2-/-マウスの作製に成功している.ノックインマウスの作製のため,Vill-Cre(腸管上皮),Albumin-Cre(肝細胞),Adipoq-Cre(脂肪細胞),Lyz2-Cre(Kupffer細胞)マウスについても入手済みである.筑波大生命科学動物資源センターで管理を行っている.今年度にp62とNrf2遺伝子ノックインマウスを得る予定である. また,p62とNrf2の肝細胞およびKupffer細胞における肝発癌シグナルへの関与を探索するために使用する細胞系については,肝細胞(Hepa1-6)とKupffer細胞(RAW264.7)のp62とNrf2をCRISPR/Cas9 systemを用いてノックアウトし,p62とNrf2を欠失したHepa1-6細胞とRAW264.7細胞を得ることに成功している.今後p62とNrf2のノックアウトによる肝発癌シグナルの変化を解析する.
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今後の研究の推進方策 |
腸管上皮,肝細胞,脂肪細胞,Kupffer細胞の組織細胞特異的遺伝子ノックインマウスが作製できた段階で表現型を観察する.32週齢で解剖し,全身p62とNrf2遺伝子二重欠損マウスと,特にNASHの肝臓の表現型を比較解析する.次に,60%高脂肪食を20週間にわたり自由摂餌させて,肝発癌の表現型(個数,病理学的悪性度など)について比較する.どの組織や細胞のp62あるいはNrf2が肝発癌の発生に重要であるか,どのように肝発癌を防御しているかを解明する. 同時に,p62とNrf2CRISPR/Cas9 systemを用いてノックアウトした肝細胞とKupffer細胞を用いて,p62とNrf2のノックアウトによる肝発癌シグナルの変化を解析する. さらに,マウスモデルの解析はヒトのNASH肝癌との相同性・類似性が問題になる可能性がある.そこで,本学消化器外科において収集されたヒトNASH肝癌の病理組織標本を用いてKeap1-Nrf2 pathwayとp62を中心とした免疫染色(p62, Nrf2, Keap1,p62が制御するautophagyの調節因子LC3A, LC3B, multiubiquitin)を実施し,NASH肝発癌と肝癌進行におけるNrf2とp62の役割を解明する.ヒト臨床検体の使用にあたり,本学と筑波大学附属病院の倫理委員会の承認を既に得ている.
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