研究課題
より強力な医学的根拠を得ることを目的として、複数の研究結果を併合して解析する方法をメタアナリシスという。メタアナリシスでは、過去の研究結果をデータとして解析するが、何等かの良い結果を含む研究が科学雑誌等に論文として報告される傾向が強く、偏った解析結果となるリスクを伴う。この偏りは公表バイアスと呼ばれるが、本研究では公表バイアスの影響の大きさを定量化する方法を研究した。無作為化比較試験での治療効果を評価するメタアナリシスにおける公表バイアスに対する方法は多くの研究がなされ、利用可能な方法が多数整備されてきたが、ネットワークメタアナリシスや診断法のメタアナリシスなどの多変量メタアナリシスに対しては、ほとんど未着手であった。本研究ではこれまでに、診断法研究あるいはネットワークメタアナリシスに対して、カットオフ値に依存する選択関数により、公表されやすさをモデル化し、それに基づく公表バイアスの定量化の方法を開発してきた。これらは、パラメトリックモデルによる方法と考えられるが、本当の公表されやすさの構造は未知であり、より仮定の少ない方法が望ましい。本年度は、診断法あるいはネットワークメタアナリシスに対して、特定のパラメトリックな選択関数に依らない任意の選択関数に対する、公表バイアスの最悪評価法を開発した。これはノンパラメトリックな感度解析に相当し、過度にモデル化に依存しない客観的な評価を可能とする。また、無作為化臨床試験に対しては、臨床試験登録が広く受け入れられているが、その情報を有効に利用した公表バイアスの評価法を開発した。その方法をネットワークメタアナリシスに拡張した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件)
Japanese J of Statistics and Data Science
巻: Accepted ページ: Accepted
10.1007/s42081-023-00190-6
Statistics in Medicine
巻: 42 ページ: 781-798
10.1002/sim.9643
Biometrics
10.11111/biom.13822
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10.1002/sim.9374