研究課題/領域番号 |
18H03211
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
江口 真透 統計数理研究所, 医療健康データ科学研究センター, 特任教授 (10168776)
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研究分担者 |
小森 理 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (60586379)
林 賢一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70617274)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 一般化平均 / 情報幾何 / 混合モデル / クラスタリング / メタ解析 |
研究実績の概要 |
異なるデータを統合するための一般化平均による統計予測法の開発と実用化のための研究を行った.幾つかの成果発表を行った. 「A Unified Formulation of k-Means, Fuzzy c-Means and Gaussian Mixture Model by the Kolmogorov-Nagumo Average」.この論文はクラスタリングのk-平均,ファジーc-平均,ガウス混合モデルを統合するために一般化平均を用いた.特にパレート分布の生存関数を使ったエネルギー関数の一般化平均を提案し,それによる損失関数最小化アルゴリズムを構築した.パレート分布の形状パラメータを特別な値をとるとこのアルゴリズムは上記の3つのアルゴリズムを含むことが示された. 「Generalized quasi-linear mixed-effects model」.混合効果モデルにおいて固定効果とランダム効果を一般化平均で繋ぐモデリングを提案した.そのモデル選択規準についても導出されている.実データ解析において従来の線形混合モデルの方法よりも有効であることが示された. 「Minimum Divergence Methods in Statistical Machine Learning: From an Information Geometric Viewpoint」.情報幾何の立場から一般化平均を含む幾つかの方法論を広い視野から論説した成書である.最後の章で動的治療の内容で一般化平均を使ったダイバージェンスの法についても紹介された. このような成果発表とともにメタ解析の一般化平均の結合,確率比の算術・幾何平均のダイバージェンスを使った予測性能指標などについてはほぼ完成しているので論文化などの具体的な発表を準備している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで標準的な線形モデル,線形解析の膨大な発展がある.その広い適用可能性を失わずに非線形モデリングを目指す一般化平均アプローチがある程度,具体的な応用が見え始めている.非線形性をロバストに捉える方法論として一般化平均を援用したモデルを準線形モデルと呼び,その方法論の完成と普及が本研究計画の目的となる. 今年度は幾つかの論文・成書発表も行い,成果が目に見える形に表れてきた.とくに数年の年月がかかってしまった「Minimum Divergence Methods in Statistical Machine Learning: From an Information Geometric Viewpoint」が一般化平均の考えを含む広い視野の下で完成したことは喜ばしい. 線形モデルでは捉えられない非線形性についての理解から具体的な準線形モデルの応用拡大が教師なし学習と教師あり学習の両方に図られたことを鑑みて計画は順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
一般化平均を用いた統計予測法のプロジェクトの完成に努める.生態学における種分布モデルの解析を開始している.ポアソン空間過程モデルに強度関数の一般化平均を考えて新たな方法論の開発を進めていきたい.この方法によってロバストな海洋生物の生息マップを構築し,生物多様性を計るための不偏な方法論の開発につなげたい.メタ解析において過去の予測子を一般化平均によって結合する方法を提案しているが,この研究の論文発表を行うよう計画を促進させる.
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