研究課題/領域番号 |
18H03219
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
増原 英彦 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (40280937)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | GPGPU / 入れ子オブジェクト / structure-of-arrays配置 / メタコンパイラフレームワーク / 動的長配列型 |
研究実績の概要 |
本年度の成果は後述する高水準言語に関するもの他に、以下のものがあった。実行時コンパイラを従来よりも柔軟にするコンパイル方式を可能にする提案が国際会議Dynamic Language Symposiumに採択発表された。モジュール化機構に関しては、反応的プログラミングに永続性を取り入れる試みと、文脈指向プログラミングのモジュール性を向上させる言語設計の提案を行いそれぞれ国際ワークショップにて発表した。さらに柔軟かつ安全な制御構造を可能にする代数的エフェクト機構に関して基礎的な貢献を行い、国内ワークショップにて発表した。
GPU上での動的なオブジェクト生成を可能にするDynaSOArに対して、より高度なオブジェクト指向機能を追加した。具体的には入れ子になったオブジェクトをstructure-of-arrays配置へ変換する機構である。この成果は日本ソフトウェア科学会プログラミングとプログラミング言語研究会で発表したほか、PLDI国際会議に併設されてARRAY 2021ワークショップでの発表も予定している。また、これまでの一連の研究成果をAsian Symposium on Programming Languages and Systems (APLAS 2002)における基調講演として発表した。
GPU向け高水準言語LIFTを拡張し、より多くのプログラムが記述可能となるようにした。LIFT言語の型システムは配列長が静的に固定される制限を課していた。この型システムを存在型を用いて拡張し、配列長に関する安全性を保ったままより広範囲のプログラムが書けることを示し、実際にコンパイラを試作してその有効性を確認した。この成果は情報処理学会論文誌論文として採録され、筆頭著者の学生が情報処理学会コンピュータサイエンス領域奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LIFT言語の拡張に関しては計画以上に良い成果を挙げることができた。また、国際会議における基調講演に招待されるなど、本研究の成果が広く認知されていることもまた計画以上のものである。一方でオブジェクト機構に関する取り組みに関しては順調に進んではいるものの、研究課題も多く残っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って研究を進めてゆく。国内外の会議出張が行えなくなっているため、他組織の研究者との議論をする機会が減ってしまっている。研究発表の機会を増やすことでカバーすることを考えたい。またRAを雇用し、実験を加速させることも検討する。
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