研究課題/領域番号 |
18H03221
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
石尾 隆 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60452413)
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研究分担者 |
伊原 彰紀 和歌山大学, システム工学部, 講師 (40638392)
小林 隆志 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (50345386)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ソフトウェア品質管理 / 動的解析 / コードレビュー / デバッグ |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に実施した実行トレース収集ツール等の開発の継続を行いながら、ソフトウェアの実行トレースの活用法を中心とした研究を行った。まず、実行トレース収集ツールについては、Java 言語用に開発していたソフトウェア selogger の新バージョンをリリースした。特に、ソフトウェアの動作の仕組みについて論文として整理する過程で、論文の査読者からソースコードの内容についても詳しい確認、意見を受けて改訂を行ったことから、機能的な側面だけでなく、利用容易性の点でも改善された。本研究の研究代表者・分担者以外の大学の研究者とも利用方法について議論が進んでいる。 実行トレースの活用方法については、ソフトウェアの単体テストにおけるエラー発生の原因調査に対して、昨年度までに構築した実行トレース収集・可視化技術の有効性の調査を進めた。また、ソフトウェアを構成する部品(いわゆるライブラリ)のバージョン更新を検討する際、特に既知の脆弱性の影響を評価するために、実行トレースが有用であることを確認した。 開発者の目的および作業ごとに適した実行トレースの可視化方法を探るために、これまでのソースコードの構造に基づく可視化に加えて、どのようなデータを収集し、可視化するかの手順をプログラム的に記述するシステム、ImperSD を開発した。サーバの動作における特定の指標のモニタリングなど、従来の可視化手法では対応できなかった用途に対して、実行トレースの収集および可視化を適用できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デバッグに限らないシステムの動作の調査という用途で、企業との議論が進展した。ライブラリの更新における動作の変化(ライブラリの非互換性による不具合の発生がないこと)の確認など、当初研究で目標としていたバグの予防という用途に、当初想定していたコードレビューにおける利用とは異なる形とはなったが、実際に近づきつつある。 また、ツール整備が進み、学会などで議論をした結果、新たな可視化手法の形などの着想も新たに得られており、来年度、さらなる研究の進展を見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ライブラリの更新によって実際に不具合が発生したという企業の事例について、事後的に状況を再現することで、本研究でこれまで開発してきたツールの適用実験を行うことを計画している。これにより、実行トレースを用いた分析を企業の実際のソフトウェア開発環境で応用する場合の課題を明らかにし、解決していくことで、研究成果の実用化をさらに進展させることを考えている。 また、Webブラウザを用いたプログラミング環境など、新しい形のプログラミング環境を利用している企業や研究者と意見交換を行うことで、実行トレースの活用方法、新たな可視化手法の探求を効果的に進める予定である。
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