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2019 年度 実績報告書

機械学習ソフトウェアの高信頼化に関わるデータセット多様性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H03224
研究機関国立情報学研究所

研究代表者

中島 震  国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 教授 (60350211)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードソフトウェア工学 / ソフトウェア・テスティング / ニューラル・ネットワーク / ディペンダビリティ
研究実績の概要

手書き数字分類(MNISTデータセット)の教師あり学習を行うニューラル・ネットワークを対象として、データセット多様性に基づくメタモルフィック・テスティングの新しい方法を提案し、その有効性を実験によって確認した。前年度に提案した方法を再考して、セマンティック・ノイズに基づく新しいフォローアップ入力生成法とニューロンの内部活性状態に着目した新しい検査性質を提案し、実験を行って提案方法の有効性を確認した。
前年度の方法は、検査対象のネットワーク構造に関わる情報を利用する「ホワイトボックス法」であり、適用可能なネットワークに制限があった。新しい方法では、セマンティック・ノイズ生成を最適化問題として定式化することで「ブラックボックス法」による検査を可能とした。原理的に、どのような種類のネットワークにも適用できる。また、既存の他研究は、検査性質に、予測分類の確からしさ、あるいは、この確からしさから計算できる値を用いていることから、間接的な検査にならざるを得ない。本研究の検査性質は、訓練済み学習モデルのニューロンの内部活性状態から計算する統計指標を検査対象とするので、訓練済み学習モデルの欠陥の有無を直接的に調べることが可能となる。
以上の研究成果を国際会議で発表した。うち1件はメタモルフィック・テスティングの考案者であるChen教授との国際共著である。また、これらの検査技術をもとに、機械学習ソフトウェアの品質保証レベルを第3者評価する枠組みを整理し、国際学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

提案したテスティング手法(テスト入力法ならびに検査対象指標の定義)は他の研究にない独自なものであり、その成果は、ソフトウェア・テスティングの研究分野への大きな貢献となる。実際、2件の国際会議論文が採択された。また、国際会議では、EUで始まった新しいプロジェクトAI4EUの研究者と議論し、本研究課題の成果が、世界的に先行することを確認した。

今後の研究の推進方策

2つの方向で研究を発展させることを計画している。第1は統計的なテスティングの方法を組み合わせることで検査結果の判断の確信レベルを定量的に示すこと、第2は検査対象ネットワークを広げること、である。以上によって、提案のテスティング方法論の有用性を高めることが可能になる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Swinburne University of Technology(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      Swinburne University of Technology
  • [雑誌論文] Distortion and Faults in Machine Learning Software2020

    • 著者名/発表者名
      Shin Nakajima
    • 雑誌名

      Proc. The 9th International Workshop on SOFL + MSVL for Reliability and Security (SOFL+MSVL 2019)

      巻: - ページ: 29-41

    • DOI

      10.1007/978-3-030-41418-4_3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Generating Biased Dataset for Metamorphic Testing of Machine Learning Programs2019

    • 著者名/発表者名
      Shin Nakajima, T.Y. Chen
    • 雑誌名

      Proc. The 31st IFIP International Conference on Testing Software and Systems (IFIP-ICTSS 2019)

      巻: - ページ: 56-64

    • DOI

      10.1007/978-3-030-31280-0_4

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Quality Evaluation Assurance Levels for Deep Neural Networks Software2019

    • 著者名/発表者名
      Shin Nakajima
    • 雑誌名

      Proc. The 24th International Conference on Technologies and Applications of Artificial Intelligence (TAAI 2019)

      巻: - ページ: 1-6

    • DOI

      10.1109/TAAI48200.2019.8959916

    • 査読あり
  • [学会発表] 訓練済み機械学習モデル歪みの定量指標2020

    • 著者名/発表者名
      中島震
    • 学会等名
      電子情報通信学会 ソフトウェア・サイエンス研究会
  • [学会発表] 機械学習ソフトウェア・テスティングの技術動向2020

    • 著者名/発表者名
      中島震
    • 学会等名
      電子情報通信学会 システム数理と応用研究会
  • [学会発表] AIビジネスリスク軽減への価値共創アプローチ2020

    • 著者名/発表者名
      中島震
    • 学会等名
      日本ソフトウェア科学会ソフトウェア工学の基礎ワークショップ
  • [学会発表] ファズ・データセットを用いたメタモルフィック・テスティング ~ 機械学習ソフトウェアの検査 ~2019

    • 著者名/発表者名
      中島震
    • 学会等名
      日本ソフトウェア科学会第36回大会
  • [学会発表] モデルの歪みと機械学習プログラムの欠陥2019

    • 著者名/発表者名
      中島震
    • 学会等名
      情報処理学会第202回ソフトウェア工学研究発表会
  • [備考] Researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/nkjm/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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